メッシュも、テクスチャも不要。これからの3Dは光そのもので表現する時代です。
3Dガウシアンスプラッティング(3DGS)は、3Dコンテンツの制作と表示の方法を根本から変える技術です。従来のようにポリゴンメッシュを作成しUVマッピングでテクスチャを貼る代わりに、写真や動画から撮影するだけで、アルゴリズムが何百万もの微小な発光点としてシーンを再構築します。その結果、フォトリアルな3Dがリアルタイムで、しかもブラウザ上で表示できるようになりました。
本ガイドでは、3DGSの技術解説から、国内での活用事例、サービス提供会社の比較、そしてなぜWeb表示が普及の鍵となるのかを網羅的に解説します。
対象読者: 観光DX担当者、文化財デジタルアーカイブ担当者、不動産・建設業界のDX推進者、EC事業者、博物館・美術館の展示企画担当者
要点まとめ
- 3DGSとは: メッシュではなくガウス分布を持つ点群で3Dシーンを再構築する技術
- 主な活用分野: 文化財デジタルアーカイブ、観光DX、不動産バーチャルツアー、EC商品表示、建設・インフラ
- Web表示のメリット: アプリ不要、どのデバイスでも閲覧可能、既存サイトへの統合が容易
- 費用感: DIY撮影は無料〜月額数千円、プロ撮影は20万〜100万円、カスタムWeb統合は50万〜500万円以上
- スケジュール: 単純なオブジェクトは即日、大規模空間は1〜2週間、カスタムビューワーは4〜8週間
ガウシアンスプラッティングとは?
3Dガウシアンスプラッティング(3DGS)は、フランスの国立研究機関Inriaが2023年に発表したレイディアンスフィールド技術です。複数の2D画像から3Dシーンを再構築するという点ではフォトグラメトリやNeRFと似ていますが、表現方法と速度において決定的な違いがあります。
仕組み
- 撮影: 対象物や空間を複数のアングルから写真または動画で撮影
- 処理: アルゴリズムが3D空間上の点を特定し、各点にガウス分布(色と不透明度を持つ「ぼやけた球」)を割り当て
- 最適化: 何百万ものガウス分布の位置、サイズ、色を元画像に一致するよう調整
- レンダリング: 専用レンダラーがこれらのガウス分布を画面に「スプラット」し、フォトリアルな表示を実現
メッシュベースのアプローチとは異なり、三角形ポリゴンの管理が不要です。NeRFとは異なり、レンダリングに高コストなレイマーチングが不要です。結果として、リアルタイムでフォトリアルな3Dが一般的なハードウェアで動作します。
ガウシアンスプラッティング vs NeRF vs フォトグラメトリ
| 項目 | ガウシアンスプラッティング | NeRF | フォトグラメトリ |
|---|---|---|---|
| 表現方法 | ガウス分布を持つ点群 | ニューラルネットワーク | ポリゴンメッシュ+テクスチャ |
| 学習時間 | 数分〜数時間 | 数時間〜数日 | 数時間〜数日 |
| レンダリング速度 | リアルタイム(60+ FPS) | 低速(1フレーム数秒) | 最適化すればリアルタイム |
| 品質 | 高品質、特に反射に強い | 高品質 | 良好、テクスチャ品質に依存 |
| 編集性 | 限定的 | 非常に限定的 | 完全に編集可能 |
| ファイルサイズ | 中程度(50〜500MB程度) | 小(ニューラルネットの重み) | 大(メッシュ+テクスチャ) |
| Web互換性 | 良好(WebGL/WebGPU) | 困難 | 最適化すれば良好 |
3DGSの最大の利点: NeRFに匹敵する視覚品質と、リアルタイムレンダリング性能を両立していることです。Web用途では、これが決定的なメリットとなります。
2026年、なぜ3DGSが注目されているのか
2025年は3DGSが研究段階から実用段階へ移行した年でした。2026年は、標準ツールとして定着する転換点となります。
国内での採用動向
NTTデータ NTTデータは株式会社アイヴィスと共同で、3DGSにおけるガウス削除後の欠落領域を自動的に検出し補完する手法の研究開発を進めています。大規模なデジタルツイン構築への応用が期待されています。
DNPコミュニケーションデザイン DNPは博物館・文化財のデジタルアーカイブ分野で3DGSの活用を推進。フォトグラメトリによる「正確なアーカイブ」と、3DGSによる「没入感のあるVR展示コンテンツ」の使い分けを提唱しています。
大塚商会(TREND-POINT) TREND-POINTは3DGS対応を発表。主にLiDAR SLAMなどで取得した点群データに対し、ガウス分布を適用することで、従来より少ない点数で高精細な表現を実現しています。インフラ維持管理、災害記録、遺跡・文化財のデジタルアーカイブへの活用が進んでいます。
VRChat文化との親和性 VRChatでは有志がデータのインポートツールを公開し、3DGSを使ったワールドが増加中です。新宿サザンテラス、京都清水寺参道、徳島県の橋梁など、実在する日本の場所がVRChat内に再現されています。
万博2025・観光DX 観光庁の観光DX推進施策と連動し、地方自治体やDMOでの3DGS活用が進んでいます。観光地のバーチャルプレビューとして、訪日前の外国人観光客への訴求に効果を発揮しています。
日本での活用事例
文化財・デジタルアーカイブ
日本は世界有数の文化財保有国であり、デジタルアーカイブの需要が極めて高い市場です。
主な活用例:
神社仏閣の3D保存 木造建築の経年劣化や災害リスクに備え、3Dでの記録保存が進んでいます。従来のフォトグラメトリでは難しかった、複雑な彫刻や漆塗りの質感も3DGSで再現可能です。
伝統的町並みのアーカイブ lileaLabは京都・清水寺参道(産寧坂・二年坂・八坂通エリア)約600mを3DGSで再現。約2万枚の画像から生成し、店舗のガラスに映り込む石畳や傘まで表現しています。フォトグラメトリより後処理工程が少なく、低コストで生成できる傾向があります。
博物館でのバーチャル展示 収蔵品の360度表示、展示室のバーチャルツアーに活用。来館できない方への情報発信、展示替え前のアーカイブとして機能します。
フォトグラメトリとの使い分け DNPが提唱するように、「厳密な記録としてのフォトグラメトリ」と「没入感のある一般向けVRコンテンツとしての3DGS」という使い分けが有効です。同じ撮影データから両方を生成できるため、目的に応じた柔軟な対応が可能です。
観光DX・地域プロモーション
観光庁の観光DX推進施策のもと、3DGSを活用した観光プロモーションが広がっています。
主な活用例:
観光地のバーチャルプレビュー 訪日前の外国人観光客に対し、観光地の魅力を3Dで伝達。写真や動画では伝わりにくい空間の雰囲気や規模感を事前に体験してもらうことで、訪問意欲を高めます。
インバウンド向け誘客コンテンツ 多言語対応のWebビューワーと組み合わせることで、言語の壁を超えた観光プロモーションが可能に。視覚的な体験は言葉に頼らず魅力を伝えられます。
地方自治体・DMOでの活用 地域の観光資源を3Dアーカイブ化し、観光Webサイトに統合。首都圏からの誘客、海外からのインバウンド需要の取り込みに活用されています。
不動産・建築
不動産業界では、物件の遠隔内覧ニーズが高まっています。
主な活用例:
物件バーチャルツアー スマートフォンで撮影し、数時間で閲覧可能なバーチャルツアーを生成。内覧の事前絞り込みに効果を発揮し、営業効率が向上します。
建築ビジュアライゼーション 施工前の建物を3Dで可視化。クライアントへのプレゼンテーション、設計検討に活用されています。
リノベーション前後の比較 Before/Afterを3Dで比較表示。リフォーム提案の説得力が向上します。
EC・小売
オンラインショッピングにおける「実物との違い」問題を3DGSで解決します。
主な活用例:
商品の360度表示 家具、ファッション、ジュエリーなど、実物の質感が購買判断に影響する商品で効果を発揮。従来の回転撮影台と比較し、反射や透過の表現に優れています。
バーチャルショールーム 店舗全体を3D化し、オンラインで来店体験を提供。コロナ禍以降のニューノーマルとして定着しつつあります。
建設・インフラ
建設業界では、BIM/CIMとの連携が進んでいます。
主な活用例:
現場記録・施工管理 工事の進捗を定期的に3D記録。設計との比較検証、品質管理に活用されています。
維持管理・点検 橋梁、トンネル、建築物の点検記録を3D化。経年変化の追跡、補修計画の策定に役立てられています。
災害記録 災害発生時の被害状況を迅速に3D記録。復旧計画の策定、保険請求の証拠として活用されています。
Webでガウシアンスプラッティングを表示するメリット
3DGS普及の最大の要因は、撮影技術ではなく、Webブラウザでの表示が可能になったことです。
ブラウザベースのメリット
アプリインストール不要 URLを共有するだけで閲覧可能。App Storeでのダウンロード、ITの承認、待ち時間が一切不要です。
クロスプラットフォーム対応 Windows、Mac、iOS、Android、ChromeOSすべてで動作。一つの実装で普遍的なアクセスを実現します。
共有・埋め込みが容易 Webサイト、メール(リンク経由)、SNSへの埋め込みが簡単。ネイティブアプリと比較して統合の手間が大幅に削減されます。
技術的リテラシー不要 誰でも閲覧可能。不動産(住宅購入検討者)、小売(買い物客)、博物館(一般来館者)など、幅広い層にリーチできます。
既存Webサイトへの統合 3DコンテンツをWebサイトの一部として組み込めます。別プラットフォームへの誘導が不要になります。
Webビューワー比較
| ビューワー | プラットフォーム | ライセンス | 対応形式 | 用途 |
|---|---|---|---|---|
| Spark | Three.js | オープンソース | PLY, SPZ, SPLAT, KSPLAT, SOG | 本番サイト、動的エフェクト |
| GaussianSplats3D | Three.js | オープンソース | PLY, SPLAT, KSPLAT | 汎用(※開発終了) |
| antimatter15/splat | WebGL | オープンソース | PLY, SPLAT | シンプルな埋め込み |
| Luma AI Web Viewer | プロプライエタリ | フリーミアム | Luma形式 | 手軽な共有、SNS連携 |
| Polycam Web | プロプライエタリ | サブスクリプション | Polycam形式 | モバイル撮影ワークフロー |
| IZUTSUYAビューワー | ブラウザ | 無料 | PLY | 簡易プレビュー |
| 4DGSビューワー | ブラウザ | 無料 | 4DGS対応 | 動的コンテンツ |
おすすめ: 本番Webサイト向けにはSparkが現時点でのリーダーです。World Labsが積極的に開発を継続しており、GitHubの2025年最も影響力のあるライブラリに選出されています。
3DGS vs Matterport vs 360度写真:どれを選ぶべきか?
不動産、博物館、小売などで3Dキャプチャを検討している場合、主に3つの選択肢を比較することになります。それぞれの特徴を比較します。
| 項目 | 3Dガウシアンスプラッティング | Matterport | 360度写真 |
|---|---|---|---|
| ナビゲーション | スムーズで連続的な移動 | ポイント間のテレポート | 固定視点 |
| 視覚品質 | フォトリアル、反射・細部も再現 | 良好、一貫性を重視 | 良好だが平面的 |
| 必要機材 | スマートフォンまたはカメラ | Matterportカメラまたは認定デバイス | 360度カメラ(Ricoh、Insta360) |
| 処理時間 | 数時間(方法により変動) | 数分〜数時間 | 数分 |
| ホスティング | 自社サーバーまたはカスタム | Matterportクラウド(サブスク) | 任意の画像ホスト |
| 月額費用 | ¥0〜5,000(自社ホスト)〜カスタム | ¥10,000〜45,000+/スペース | ¥0〜3,000/月 |
| 撮影時間 | 15〜60分(動画ウォークスルー) | 30〜90分(スキャンポイント) | 10〜30分(撮影位置) |
| モバイル表示 | 最適化すれば良好 | 優秀 | 優秀 |
| オフライン表示 | 可能 | 制限あり | 容易 |
| 撮影後の編集 | 限定的 | 注釈、計測 | 基本的な編集 |
| フロアプラン | 非対応 | 自動生成 | 非対応 |
| 最適な用途 | プレミアム体験、マーケティング、博物館 | 不動産物件掲載、施設文書化 | 簡易プレビュー、低予算案件 |
それぞれを選ぶべきケース
3Dガウシアンスプラッティングを選ぶ場合:
- 視覚品質と没入感が最優先
- 差別化されたプレミアム体験が必要
- コンテンツが目立つ場所に配置される(ヒーロー配置、マーケティングキャンペーン)
- ホスティングの所有権とコントロールが必要
Matterportを選ぶ場合:
- フロアプランと計測機能が必要
- 多数の物件でスピードと一貫性が重要
- Matterportのエコシステム(不動産ポータル連携など)がワークフローに適合
- マネージド型のターンキーソリューションを希望
360度写真を選ぶ場合:
- 予算が限られている
- 短納期が必須
- コンテンツが補助的で、主役ではない
- 多くの場所を短時間でカバーする必要がある
判断フレームワーク:3DGSはあなたのプロジェクトに適していますか?
このフレームワークを使って、3Dガウシアンスプラッティングがニーズに合っているか評価してください。
スタート:主な目的は何ですか?
│
├─► 「プレミアム品質をアピールしたい」→ 3DGSが適しています
│ └─► 続き:Web開発リソースはありますか?
│ ├─► はい → カスタム統合を推奨
│ └─► いいえ → ホスト型ビューワー(Polycam、Luma)を使用、または制作会社に依頼
│
├─► 「空間を効率的に大量に記録したい」→ Matterportを検討
│ └─► フロアプランが必要? → Matterportが得意
│
├─► 「手早く、低コストでカバーしたい」→ 360度写真で十分
│
└─► 「スムーズなウォークスルー型ナビゲーションを実現したい」→ 3DGSまたはMatterport
└─► 視覚的な忠実度が重要?
├─► はい → 3DGS
└─► いいえ → Matterportの方がシンプルかも
自問すべき重要な質問:
- コンテンツの目的は? リード獲得、アーカイブ、マーケティング、記録のどれ?
- 想定視聴者は? 技術者、一般層、社内チームのどれ?
- どのデバイスで閲覧する? デスクトップ中心かモバイル中心か?
- 予算は? 一括払いか継続サブスクリプションか?
- フロアプラン/計測は必要? 必要ならMatterport寄りに。
- 単発か繰り返しか? スケールで判断基準が変わる。
3DGSベンダーに聞くべき10の質問
3DGSサービス提供会社を選定する前に、以下の質問で十分な情報を得てください。
撮影・処理について
- 撮影プロセスは?(スマートフォン、プロ用カメラ、ドローン、または組み合わせ?)
- 通常の納期は?(即日、数日、数週間?)
- 最終出力のスプラット数は?(品質とパフォーマンスに影響)
Web最適化について
- Web配信向けの最適化を行いますか?(重要—生データはWeb公開に適していません)
- どのファイル形式で納品しますか?(PLY、SPZ、KSPLAT?圧縮形式は読み込み時間を短縮)
- 想定ファイルサイズと読み込み時間は?(モバイル向け目標:50MB以下)
技術互換性について
- どのビューワーと互換性がありますか?(Spark、カスタム、プロプライエタリ?)
- WebGPUに対応または対応予定ですか?(将来性が重要)
- 複数の品質階層(LOD)を提供できますか?(プログレッシブ読み込み用)
ビジネス・サポートについて
- 類似プロジェクトの実績を見せてもらえますか?(事例、パフォーマンス指標)
エンタープライズ向け追加質問:
- 継続的なサポートと保守には何が含まれますか?
- コンテンツの更新や再撮影はどう対応しますか?
- データ保持と所有権のポリシーは?
- 既存のCMSやシステムとの統合は可能ですか?
日本のサービス提供会社比較
撮影・制作サービス
| 会社名 | 価格帯 | 特徴 | 得意分野 |
|---|---|---|---|
| 株式会社IZUTSUYA | 要問合せ | 4DGS対応、無料ビューワー提供、Webコンテンツに強み | VR/Webコンテンツ、VRChat向け |
| 株式会社ASOLAB | 数十万円〜 | ドローン空撮専門、長野県松本市拠点、上高地など大規模実績 | 観光地、大規模屋外空間 |
| ジュエ株式会社 | 要問合せ | レーザースキャナー、シネマカメラ、大型ドローンを活用した高品質撮影 | ハイエンド案件、建設・インフラ |
| lileaLab | 要問合せ | 文化財XR専門、広域3DGS(京都清水寺参道600m実績) | 文化財、伝統的町並み |
| exAgent/ArchiTwin | 要問合せ | Unity連携、企業向けオフラインソリューション、大阪芸術大学との連携 | 建設、造船、インフラ、教育 |
| CG MAKERS | 要問合せ | 文化財3DCG制作専門、フォトグラメトリとの併用 | 博物館、文化財 |
エンタープライズソリューション
| 会社名 | 特徴 | 対象 |
|---|---|---|
| NTTデータ | 研究開発レベル、欠損領域の自動補完技術、アイヴィスとの共同開発 | 大規模デジタルツインプロジェクト |
| 大塚商会(TREND-POINT) | 点群データとの統合、LiDAR SLAM対応、インフラ維持管理向け | 建設・測量、インフラ管理 |
| DNPコミュニケーションデザイン | 博物館・文化財DX総合支援、展示企画からデジタルアーカイブまで | 博物館、美術館、文化施設 |
マーケットプレイス
3Dasset.io(HinataNFT) 国内唯一(2025年9月時点)の3DGS PLYデータ対応マーケットプレイス。3DGSデータの売買が可能です。
技術的な考慮点
ファイル形式
3DGSのエコシステムには複数のファイル形式があり、それぞれ特徴があります。
| 形式 | 拡張子 | 圧縮 | 備考 |
|---|---|---|---|
| PLY | .ply | なし/圧縮可 | 標準形式、広くサポート |
| SPLAT | .splat | 軽度 | シンプルなバイナリ形式 |
| KSPLAT | .ksplat | 中程度 | PLYの圧縮版 |
| SPZ | .spz | 高度 | Googleの圧縮形式 |
| SOG | .sog | 高度 | シーン最適化、新しい形式 |
推奨: Web配信には圧縮形式(SPZ、SOG、KSPLAT)を使用し読み込み時間を短縮。アーカイブ用には元のPLYを保存。
Web向けスプラット最適化(重要)
生の撮影データはWeb公開に適していません。 一般的な撮影では500万〜1500万スプラット、200〜500MBのデータが生成されます。最適化なしでは読み込み時間が長くなり、モバイル端末ではフリーズやクラッシュの原因となります。
Web最適化のパイプライン:
- スプラット数の削減: 数百万から20万〜100万にダウンサンプリング
- 圧縮: PLYから圧縮形式(SPZ、KSPLAT、SOG)へ変換—通常5〜10倍のサイズ削減
- LOD(詳細度レベル): プログレッシブ読み込み用に複数の品質階層を生成
- 空間ソート: 効率的なレンダリングのためスプラット順序を最適化
- 形式選定: ビューワーの対応形式に合わせて選択
最適化しないとどうなるか:
- 高速回線でも30秒以上の読み込み時間
- モバイルブラウザのフリーズ・クラッシュ
- 高い離脱率によるエンゲージメント低下
- CDNコストの不必要な増大
Web向けの目標値:
| 対象デバイス | 最大スプラット数 | 最大ファイルサイズ | 目標FPS |
|---|---|---|---|
| デスクトップ | 100万〜200万 | 50〜100 MB | 60 |
| ノートPC | 50万〜100万 | 30〜50 MB | 45〜60 |
| モバイル | 20万〜50万 | 15〜30 MB | 30〜45 |
撮影サービスを選定する際は、Web最適化への対応を必ず確認してください。 多くのサービスは生データまたは軽度の処理のみで納品するため、公開前に追加の作業が必要になります。
WebGPU:Web 3Dの未来
WebGPUはWebGLの後継技術であり、ガウシアンスプラッティングのような複雑な3Dレンダリングで大幅なパフォーマンス向上を実現します。
3DGSにおけるWebGPUのメリット:
- コンピュートシェーダー: GPU上でのスプラットソートが可能に(大幅な性能向上)
- メモリ管理の改善: より大きなシーンをクラッシュなしで処理
- モダンGPU機能: WebGLでは不可能だった最適化を実現
- 2〜5倍のパフォーマンス向上(一般的な3DGSシナリオ)
ブラウザ対応状況(2026年時点):
- Chrome: 2023年から完全サポート
- Edge: 完全サポート
- Firefox: 2024年後半から完全サポート
- Safari: Safari 26(2025年)から完全サポート
将来を見据えたビューワー選び:
3DGSビューワーを選ぶ際は、WebGPU対応状況を確認してください:
| ビューワー | WebGL | WebGPU | フォールバック |
|---|---|---|---|
| Spark | 対応 | 開発中 | 自動 |
| GaussianSplats3D | 対応 | 非対応 | — |
| antimatter15/splat | 対応 | 非対応 | — |
| カスタム(Utsubo) | 対応 | 対応 | 自動 |
推奨: WebGPU対応、または対応予定のビューワーを選択してください。パフォーマンス差は大きく、ブラウザサポートは今やユニバーサルです。WebGLのみのビューワーは、WebGPUがデフォルトになるにつれて古く感じられるようになります。
パフォーマンスベンチマーク(目安)
| デバイス | 品質 | フレームレート |
|---|---|---|
| デスクトップPC(RTX 3080相当) | 高(100万+スプラット) | 60+ FPS |
| ノートPC(M1 MacBook相当) | 中(50万スプラット) | 45〜60 FPS |
| スマートフォン(iPhone 14以降) | 低(20万スプラット) | 30〜45 FPS |
| 古いスマートフォン | 非常に低 | 変動 |
通信量・容量の目安
- 初回読み込み: シーンの複雑さと圧縮により20〜200MB
- ストリーミング: 一部ビューワーでプログレッシブ読み込みに対応
- CDN推奨: 高速配信により初回表示体験が大幅に向上
費用・スケジュールの目安
費用帯
| 区分 | 費用範囲 | 内容 |
|---|---|---|
| DIY | 無料〜月額5,000円 | スマートフォン撮影、Polycam/Luma AIなどの一般向けツール |
| プロ撮影 | 20万〜100万円 | スタジオ品質の撮影、最適化された出力、複数納品物 |
| カスタムWeb統合 | 50万〜500万円+ | オリジナルビューワー、CMS統合、ブランド体験 |
| エンタープライズ | 個別見積 | 複数物件システム、API連携、専用サポート |
スケジュールの目安
| 規模 | 撮影 | 処理 | 統合 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 単純なオブジェクト | 30分 | 1〜2時間 | 即日 | 1日 |
| 室内空間 | 1〜2時間 | 4〜8時間 | 1〜3日 | 1週間 |
| 大規模屋外 | 4時間+ | 1〜2日 | 1〜2週間 | 2〜3週間 |
| カスタムWebビューワー | — | — | 4〜8週間 | 4〜8週間 |
導入ステップガイド
マーケター向け:すぐに始める方法
- Polycamをダウンロード(iOS/Android)し、商品や空間を撮影
- 処理: アプリ内蔵の3DGSモードで変換
- 共有: PolycamのWebビューワーリンクで共有
- 評価: 写真と比較して閲覧エンゲージメントを検証
所要時間:1時間以内。費用:無料枠あり。
開発者向け:Three.js統合の基本
- Sparkをインストール:
npm install @sparkjs/core - スプラットファイルを読み込み:
import { SplatLoader } from '@sparkjs/core';
const loader = new SplatLoader();
const splat = await loader.loadAsync('scene.ply');
scene.add(splat);
- レンダリング: 標準のThree.jsレンダーループで表示
- 最適化: 本番向けにLODとプログレッシブ読み込みを実装
参考: Sparkドキュメント
企業向け:評価フレームワーク
- 成功指標を定義: 読み込み時間?滞在時間?コンバージョン向上?
- 低リスクなコンテンツでパイロット: マーケティング素材から開始、基幹システムは後回し
- 撮影ワークフローを評価: 社内で撮影可能か、外部サービスが必要か?
- 統合要件を確認: ヘッドレスCMS?認証?アナリティクス?
- TCOを算出: ホスティング、CDN、保守、コンテンツ更新を含む
3DGSの今後
4Dガウシアンスプラッティング(動的シーン)
次のフロンティアは動きの撮影です。4DGSは静的な空間だけでなく、パフォーマンス、イベント、変化する環境を記録します。IZUTSUYAは4DGS専用ビューワーを無償公開しており、国内での活用が始まっています。
単一画像からの3D生成
2026年初頭、Appleは単一画像から高品質な3DGSを生成する技術「SHARP」を発表しました。一般的なGPU環境で高速な3Dシーン構築が可能になります。カタログ写真が3Dアセットに、過去の写真が探索可能な空間になる可能性があります。
ブラウザネイティブ対応
現在、ビューワーはJavaScriptライブラリを通じてWebGL/WebGPUを使用しています。将来的にはブラウザがスプラットをネイティブにサポートする可能性があり、パフォーマンス向上と実装の簡素化が期待されます。
WebXRとの統合
ガウシアンスプラッティングはVR/ARと自然に融合します。WebXRとの緊密な統合が進み、ネイティブアプリなしでブラウザ上で没入体験が可能になることが期待されています。
よくある質問(FAQ)
ガウシアンスプラッティングとNeRFの違いは? どちらも2D画像から3Dシーンを再構築します。NeRFはニューラルネットワークを使用しレンダリングが遅い。ガウシアンスプラッティングは明示的な点群を使用しリアルタイムでレンダリングできます。Web用途では3DGSが実用的な選択肢です。
スマートフォンで閲覧できますか? はい。最新のスマートフォン(iPhone 12以降、最近のAndroidフラグシップ)では最適化されたスプラットを許容できるフレームレートで表示できます。パフォーマンスはシーンの複雑さと最適化に依存します。
プロの撮影にいくらかかりますか? プロの3DGS撮影は通常20万〜100万円程度です。空間の大きさ、複雑さ、納品物の要件により変動します。カスタムビューワーを含むエンタープライズ案件は50万円から。
ECサイトの商品撮影に使えますか? はい。特にテクスチャや素材感が重要な商品(家具、ファッション、ジュエリー)で効果を発揮します。シンプルな商品では通常の写真撮影で十分な場合もあります。
どのファイル形式を使うべきですか? Web配信には圧縮形式(SPZ、KSPLAT、SOG)を使用。アーカイブ・編集用には元のPLYファイルを保存してください。
撮影後に編集できますか? 限定的な編集は可能です。スプラットの削除、色調整など。大きな形状変更には再撮影が必要です。メッシュベースのワークフローとは異なり、大幅な編集は想定されていません。
Web表示とネイティブアプリの違いは? Webビューワーはわずかにパフォーマンスが劣りますが、アクセシビリティが大幅に優れています。ほとんどのユースケースでは、リーチのメリットがパフォーマンスの差を上回ります。VR/ARや非常に複雑なシーンではネイティブアプリが適しています。
通信量・容量の目安は? 一般的なシーンで20〜200MB程度。プログレッシブ読み込みと圧縮で改善できますが、初回読み込みは通常のWebページより重くなります。CDNでの配信を推奨します。
文化財のデジタルアーカイブに適していますか? はい、ただし用途によります。「厳密な記録」にはフォトグラメトリ、「没入感のある一般向けVRコンテンツ」には3DGSという使い分けが有効です。同じ撮影データから両方を生成できるため、目的に応じた使い分けが可能です。
Utsuboについて
Utsuboは、リアルタイム3D Web体験を専門とするクリエイティブテクノロジースタジオです。
専門領域:
- Three.js開発: パフォーマンスと品質を両立した本番対応の3D Webアプリケーション開発
- WebGPU対応ガウシアンスプラッティングビューワー: WebGLとWebGPUの両方に対応し、自動フォールバック機能を備えた独自ビューワーを開発。すべてのデバイスで最適なパフォーマンスを発揮しながら、将来の技術進化にも対応
- Web最適化パイプライン: スプラット数削減、圧縮、LOD生成まで一貫して対応し、撮影データをWeb公開可能な状態に仕上げます
- インタラクティブインスタレーション: 3D技術と空間デザインを融合した体験型コンテンツ
- 没入型Webサイト: スクロール駆動の物語体験、WebGL/WebGPUを活用したブランドストーリーテリング
Three.jsの黎明期から開発を続けており、ガウシアンスプラッティングも技術の成熟とともにツールキットに組み込んでいます。当社のビューワーは本番運用を想定して設計されており、最適化された読み込み、WebGPUアクセラレーション、既存Webサイトへのシームレスな統合を実現します。
3Dガウシアンスプラッティングの導入相談
3DGSを初めて検討される方も、本番統合の準備が整った方も、お気軽にご相談ください。
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