Key Points(要点)
- 動画サイネージは「見られて終わり」になりやすいのに対し、インタラクティブ・インスタレーションは通行客を立ち止まらせ、行列や人だかりを生むことで売り場の重心そのものを変えられる。これは体験経済の潮流を反映しています。
- 日本人と訪日客ではブランドとの出会い方も言語理解も違うため、「日本語/英語のテキストに頼りすぎず、身体の動きとビジュアルで伝える体験設計」が両者に効く最短ルートになる。
- 体験の最後に、写真・動画・キャラクターカードなど「持ち帰れるアウトプット」を用意すると、記憶にも SNS にも残りやすく、広告費を増やさずに UGC を生み出せる。
- カメラ+AI を組み合わせることで、個人を特定せずに「立ち止まり人数・推定年代・滞在時間・混雑時間帯」などを数値で把握し、店頭体験を売上や会員登録などの KPI とひもづけて継続的に改善できる。
- 大規模な常設インスタレーションから始める必要はなく、まずはポップアップやキャンペーンで小さく検証し、結果を見ながら常設化・多店舗展開へと段階的に育てるのがリスクの低い進め方になる。
百貨店・ファッションブランド・テック系ショップ・モール・キャラクターショップなどで
店舗のイノベーションやマーケティングを担当している 30〜40 代の皆さまへ。
- 動画サイネージやインフルエンサー施策はやっているけれど、店頭での決定打になっている実感がない
- 「体験型ストア」「ブランド体験」がトレンドなのは分かるが、何から始めればいいか分からない
- 訪日外国人も増えている中で、日本人と海外のお客さま、両方に刺さる体験設計が難しい
そんなモヤモヤを抱えている方は多いのではないでしょうか。
本記事では、リテールブランド・商業施設のご担当者さま向けに、
- 動画や SNS だけでは届きにくい「店頭体験」のギャップ
- 日本人と訪日客の両方に届く インタラクティブ・インスタレーション(インタラクティブインスタレーション)の活用ポイント
- KPI を設計できる「AI+体験型コンテンツ」の考え方
- 小さく始めて育てるためのロードマップ
を、実務目線で整理しました。
1. 動画だけでは届かない「店頭体験」のギャップ
1-1. 動画は「見られて終わり」になりやすい
店頭やモールの共用部では、すでに多くのブランドが
- 大型 LED ビジョン
- デジタルサイネージ
- SNS 用の縦型動画
を活用しています。
もちろん、認知やイメージ醸成 には大きな力を発揮しますが、
- その場で立ち止まってもらえるか
- 店内に一歩踏み入れてもらえるか
- 数日後までブランドを覚えていてもらえるか
という点では、「横目で見て終わる」コミュニケーションになりがちです。
1-2. 体験がないと「行きたい理由」になりにくい
とくに、百貨店やモールのようにブランドが並ぶ環境では、
「このブランドの動画、何となく見たことはあるけれど、わざわざ足を運ぶ理由 にはなっていない」
という状況が起きやすくなります。
SNS 上では一瞬バズっても、
店頭体験につながらなければ、マーケティング投資としてのインパクトは限定的です。
そこで注目されているのが、
インタラクティブ・インスタレーション(体験型のデジタルコンテンツ)を店頭に持ち込む 取り組みです。
2. インタラクティブ・インスタレーションがリテールにもたらす 3 つの価値
2-1. 「立ち止まり」と「人だかり」をつくる
インタラクティブ・インスタレーションの第一の価値は、
人の動きそのものを変えられる 点です。
- 画面の前を通ると、シルエットがキャラクターに変わる
- 手を振ると、ブランドの世界観に合わせたエフェクトが広がる
- 友達同士で遊ぶと、結果が大きなスクリーンに表示される
といったしかけは、「何だろう?」と 立ち止まる理由 をつくり、
結果として 行列や人だかりが自然に生まれる 導線になります。
2-2. ブランド体験が「自分ごと化」される
動画は「見る」コミュニケーションですが、
インタラクティブ・インスタレーションは 「触る」「参加する」コミュニケーション です。
- 自分の動きに合わせて画面が変化する
- 好きなキャラクターやカラーを選んで遊べる
- 体験の結果が、その人だけのビジュアルとして残る
といった体験は、
ブランドの世界観を 自分の体験として結びつける きっかけになります。
「あのブランド、友達と一緒に遊んだあの体験が楽しかった」
という記憶になれば、
動画広告よりもはるかに長く、ブランドが記憶に残ります。
2-3. SNS で「共有したくなる瞬間」を設計できる
インタラクティブな店頭体験は、SNS と相性が良い という特徴があります。
- 体験のクライマックスが、自然と写真・動画を撮りたくなる瞬間になっている
- 自分のキャラクターや結果画面を、X / Instagram / TikTok に投稿したくなる
- フォトブースやフレームなど、シェア前提のアウトプット を用意する
ことで、メディア費を追加しなくても、UGC(ユーザー投稿)から広がる 可能性が生まれます。
3. 日本人と訪日客、両方に届く店舗体験とは?
まず前提として、今の日本で「外国人のお客さま」がどれくらい重要な存在になっているか を簡単に整理しておきます。
- 2024 年、日本を訪れた外国人旅行者は 約 3,687 万人 と過去最高を更新し、インバウンド消費額は 約 8.1 兆円 に達しました。インバウンドは自動車に次ぐ、日本の「第二の輸出産業」と位置づけられています。
- 1 人あたりの旅行中の支出は 平均 22.7 万円 と過去最高レベルで、コロナ前より 4 割以上増えています。
- 平均滞在日数は 約 9.3 日 まで伸びており、単純計算すると 1 日あたり 2.4 万円前後 を日本で使っていることになります。
- 一方で、日本で働く外国人労働者も 2024 年時点で 約 230 万人 と過去最高を更新し、ここ 10 年で約 3 倍の規模に成長しています。
円安の影響もあり、多くの訪日客にとって日本は「物価の安い先進国」と映っており、
観光客と在留外国人を合わせた外国人市場は、都市部の店舗にとって無視できないボリュームと購買力を持つセグメント になっています。
こうした前提を踏まえたうえで、「日本人」と「外国人」がどのようにブランド・店舗と出会い、どう理解しているのかを見ていきます。
3-1. 情報の入口がまったく違う
日本人のお客さまは、
- ブランドの公式サイト
- 雑誌・Web メディア
- 友人からの口コミ
などから情報を得て来店することが多い一方で、
訪日外国人の多くは、
- Google マップ・口コミサイト
- 旅行系ブログ・YouTube
- TikTok・Instagram のショート動画
など、「旅先での選択肢を探す文脈」で店舗情報に出会います。
その結果、
- 日本人にとっては「知っていて当然」のブランドでも
- 訪日客にとっては「偶然通りかかった、何だか気になる店」
として認知されるケースが少なくありません。
3-2. 言語の壁を超える「身体感覚の体験」
ここで強いのが、言語に依存しすぎないインタラクション です。
- 画面の前に立つと何かが起こる
- 手を動かすと色やキャラクターが反応する
- シンプルなアイコンと短い日本語/英語で遊び方を示す
といったデザインであれば、
- 日本語が読めない訪日客
- 英語が得意でない日本人
どちらにとっても 直感的に楽しめる体験 になります。
3-3. 多文化前提で設計されたブランドの世界観
Utsubo では、日本在住の多国籍メンバーを含むチーム で体験設計を行っています。
- 日本人のお客さまが「ブランドらしさ」を感じられる世界観
- アジア/欧米など、文化背景の異なるお客さまにも伝わるコンテクスト
- 日本ならではの「かわいい」「丁寧さ」「おもてなし」と、
グローバルで通用する「わかりやすさ」の両立
といった観点から、日本人と訪日客の両方にとって心地よい体験 をデザインすることが可能です。
4. 成功するインタラクティブ・インスタレーション設計 5 つのポイント
4-1. 最初の 5〜10 秒で「どう遊ぶか」が分かる
- 何もしていないときの アイドル画面 で、遊び方をビジュアルで示す
- 「ここに立つ」「手を振るだけ」など、最初のアクションを 1 つに絞る
- 前の人の遊び方が、そのまま次の人のチュートリアルになるように、
体験時間や回転率を設計する
4-2. ブランドの世界観と「体験」をきちんと結びつける
単に「楽しいゲーム」で終わらせず、
- ブランドのストーリー
- 商品カテゴリー・特徴
- キャラクターや IP の魅力
と体験内容がつながっていることが重要です。
例:
- コスメブランド → 色や光を使って「自分らしさ」を表現する体験
- テックブランド → テクノロジーを遊びながら体感できるインタラクション
- キャラクターショップ → 好きなキャラと一緒に写真や結果画面が残る仕掛け
4-3. UI は「日本語+英語」をミニマルに
- テキストは 短い日本語+シンプルな英語 を基本にする
- フォントサイズ・コントラストを、店内照明の明るさを踏まえて設計する
- 言語よりも ピクトグラム(アイコン)やアニメーション を優先する
4-4. 「1 人でも、グループでも」楽しい体験にする
- 1 人でじっくり遊ぶモード
- 友達や家族で一緒に盛り上がれるモード
の両方を想定することで、
- 平日昼間の単独来店
- 週末のファミリー層
- 訪日客グループ
といった多様な来店パターン をカバーできます。
4-5. 体験の最後に「共有したくなるアウトプット」を用意する
- オリジナルのビジュアル・動画・キャラクターカード
- QR コードから受け取れるデジタルコンテンツ
- SNS 向けのフレームやハッシュタグ
など、体験の結果を持ち帰れる形にする ことで、
記憶にも SNS にも残りやすくなります。
5. AI × インタラクティブで「計測できる店舗体験」にする
体験型コンテンツは「楽しいけれど、効果が測りづらいのでは?」
という懸念もよくうかがいます。
Utsubo では、オプションとして AI を組み合わせた計測機能 をご提案しています。
5-1. カメラ映像から来訪傾向を可視化(※個人は特定しない設計)
インスタレーションに組み込んだカメラ映像を AI で解析することで、
- 画面の前に立ち止まった人数
- 推定される性別・年代の比率
- 滞在時間・視線の方向
- 混雑しやすい時間帯
といった情報を、統計データとして取得 できます。
ポイントは、
- 個人を特定できる情報や顔画像そのものは保存せず
- メトリクス(数値情報)のみを保持 する設計にすること
です。
プライバシーへの配慮を前提にしつつ、店舗側の意思決定に使えるデータを残すことができます。
5-2. 店舗 KPI とひもづけて「改善サイクル」を回す
AI で取得したデータは、次のような KPI とひもづけて活用できます。
- 立ち止まり率(前を通った人のうち、何%が体験しているか)
- 体験完了率(途中で離脱せず最後まで遊んだ割合)
- 体験後の 入店率・購入率・会員登録率・LINE 追加 との相関
- 時間帯別のパフォーマンス比較(平日/休日、昼/夜など)
これにより、
「ただ面白そうだから置く」インスタレーション
から
「ブランドと売り場の KPI を動かすための体験設計」
へとステージを上げることができます。
6. どんなブランド・店舗に向いているのか?
インタラクティブ・インスタレーションは、次のようなシーンと相性が良いです。
- 百貨店・駅ビル・ショッピングモールの 共用部プロモーション
- ファッション・コスメブランドの フラッグシップストア
- テック・ガジェット系ショップの 体験ゾーン
- キャラクターショップ・テーマショップの 世界観演出エリア
- 期間限定の ポップアップストア や イベントスペース
特に、
- 訪日客の来店比率が高いエリア
- 動画サイネージは増えているが、差別化が難しくなっている売り場
- 「X や TikTok 上で話題になる体験をつくりたい」ブランド
には、大きなチャンスがあります。
7. よくあるつまずきと、その回避方法
「映像ありき」で考えてしまう
- 先に動画を決めてから、最後に「ちょっと触れる要素」を足すと、
体験としては弱くなりがちです。 - → 最初に「どんな行動をしてほしいか」「何を感じてほしいか」を決める ところから設計を始めましょう。
- 先に動画を決めてから、最後に「ちょっと触れる要素」を足すと、
日本人目線だけで設計してしまう
- 日本語のコピーやコンテクストに依存しすぎると、訪日客には届きにくくなります。
- → 企画段階から、多文化チームでレビュー することが重要です。
KPI を決めずに導入してしまう
- 「面白いから」「話題になりそうだから」という理由だけで導入すると、
成果の評価があいまいになります。 - → 立ち止まり率・SNS 投稿数・会員登録など、事前にゴールを決めておく ことが大切です。
- 「面白いから」「話題になりそうだから」という理由だけで導入すると、
8. 小さく始めて育てるためのロードマップ
いきなり大規模な常設インスタレーションを入れる必要はありません。
現実的には、次のようなステップで進めるのがおすすめです。
ステップ 1:テーマと KPI を決める
- ブランドとして伝えたい「世界観」や「メッセージ」
- 店舗として動かしたい指標(立ち止まり/売上/会員登録/SNS など)
- 日本人と訪日客の比率・想定ペルソナ
を整理します。
ステップ 2:期間限定でテスト導入する
- ポップアップやキャンペーン期間に合わせて、1〜2 ヶ月の期間限定で導入
- AI 計測オプションを使い、立ち止まり・滞在時間・体験完了率 を把握
- スタッフやお客さまからのフィードバックを収集
ステップ 3:常設化・多店舗展開を検討する
テスト導入で見えた結果をもとに、
- 表現や難易度を調整
- コンテンツのバリエーションを追加
- 他店舗や他都市への展開
といったステップに進むことで、投資リスクを抑えつつ、体験価値を育てていく ことができます。
9. Utsubo のご紹介:日本と世界をまたぐ「体験型ストア」のパートナー
Utsubo は、大阪を拠点とする インタラクティブ体験と Web 体験に特化したクリエイティブスタジオ です。
- ミュージアムやブランドのためのインタラクティブ・インスタレーションを多数企画・制作
- 国内外のブランド/企業の Web・デジタル体験を設計
- 日本在住の多国籍メンバーによるチーム体制 で、日本人と訪日客の両方に届く UX を提案
- 店頭体験とオンラインコミュニケーションを一つのストーリーとして設計
「動画や SNS はやってきたけれど、次の一手として体験型コンテンツを検討したい」
「日本人にも訪日客にも刺さる、店頭の新しい体験をつくりたい」
といった段階から、ぜひご相談ください。
10. 30 分の無料相談のご案内
次のようなご担当者さまに向けて、30 分の無料オンライン相談 をご用意しています。
- 店舗リニューアルやポップアップ企画で、インタラクティブ・インスタレーションを検討したい
- 店頭の動画サイネージだけでは差別化が難しくなってきた
- 日本人と訪日客、両方に届く店舗体験を設計したい
こちらから 30 分の無料相談を予約 していただくと、 現在の課題やゴールをお伺いしたうえで、
- どのような体験がブランド・店舗にフィットしそうか
- どの KPI から改善していくのが現実的か
- 予算やスケジュールに応じた、段階的な進め方
を、その場でフィードバックいたします。
11. リテール担当者のためのチェックリスト
- 店頭・モールの共用部で、ブランド独自の「体験型コンテンツ」が最低 1 つは存在する
- 体験の遊び方が、5〜10 秒で直感的に理解できる
- UI は、日本語と英語の両方でシンプルに案内されている
- 日本人・訪日客・ファミリーなど、複数の来店パターンを想定して設計されている
- 体験の最後に、写真や動画・デジタルコンテンツなど「持ち帰れるアウトプット」がある
- AI などを活用し、立ち止まり率や滞在時間などのメトリクスを把握できている
- インタラクティブ・インスタレーションの KPI(何を改善したいのか)が明確になっている
- 企画段階から、インバウンドとリテールに強い制作パートナーに相談できている
12. よくある質問
Q. 店舗にインタラクティブ・インスタレーションを導入するのに、どのタイミングが適していますか?
A. 店舗リニューアル・フロアリニューアル・ブランドの周年タイミングなど、もともと話題化しやすいイベントと合わせて導入するケースが多いです。また、訪日客比率が上がってきたエリアや、動画サイネージだけでは差別化が難しくなってきたタイミングも良い検討機会です。まずは期間限定のテスト導入から始め、結果を見ながら常設化を検討する方法をおすすめします。
Q. どのくらいの予算感から検討できますか?
A. 体験の内容や規模によって大きく変わりますが、1 面の大型スクリーン+シンプルなインタラクションから始める場合と、空間全体を使った大規模なインスタレーションではレンジが異なります。Utsubo では、企画段階でおおよそのご予算感を伺いながら、現実的なスコープをご提案する形をとっています。
Q. AI を使った来訪者分析は、プライバシーの面で問題ありませんか?
A. 設計次第で、プライバシーに配慮した形での導入が可能です。Utsubo では、個人を特定できる情報は保存せず、性別・年代・人数・滞在時間などの統計データのみを保持する方式をご提案しています。また、必要に応じて店頭での掲示や説明文の作成もサポートいたします。
Q. どの段階から制作パートナーに相談してもよいですか?
A. 「まだ社内でアイデアレベルを議論している段階」からご相談いただくのが理想的です。体験のコンセプト設計や、どの KPI を狙うべきか、Web や SNS とどうつなげるかといった上流の検討からご一緒することで、結果につながりやすい投資計画を立てやすくなります。

大阪のインタラクティブインスタレーションスタジオ


