留学生40万人超時代の大学英語サイト——国際部のための情報設計・予算・発注ガイド

ルカム・ジョスラン

ルカム・ジョスラン

代表取締役、Utsubo株式会社

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留学生40万人超時代の大学英語サイト——国際部のための情報設計・予算・発注ガイド

Table of Contents

日本政府が2033年の達成を掲げていた「留学生40万人」は、2025年5月時点で40万8,069人と、8年前倒しで超えました(JASSO調べ、前年比+21.2%)。一方で、留学生が進学先を知る経路は、留学経験者の体験談46.7%、親戚や友人35.2%、母国の学校や教員31.5%——学校のホームページを検索した人は14.2%にとどまります。つまり大学の英語サイトは、志願者を「集める」場所ではなく、すでに名前を知って訪れた志願者が費用・出願資格・卒業後の進路を確かめ、家族や母国の教員に説明する材料を得る場所です。この記事は、その確認に耐える英語サイトの情報設計・予算・発注の進め方を、私立大学の国際部の視点でまとめました。あわせて第8章では、同じ改修のなかで並走することの多いもうひとつの課題——日本人学生向けの学部特設サイトやオープンキャンパスLPをどう設計するか——も扱います。

Who this is for: 私立大学の国際部・国際センター・国際交流課、国際入試を担当する入学センター、大学広報の担当者と責任者。英語サイトの改修を学内で提案・稟議する立場の方。


Key Takeaways

  • 留学生は40万8,069人(2025年5月1日時点、前年比+21.2%)。政府が2033年に掲げた40万人は8年前倒しで達成された(JASSO 外国人留学生在籍状況調査)
  • 留学生が進学先を知る経路は体験談46.7%・親戚友人35.2%・母国の教員31.5%、学校HPの検索は14.2%(JASSO 令和5年度 私費外国人留学生生活実態調査 第2-5表)。英語サイトの役割は集客ではなく、紹介で訪れた志願者の「確認と納得」
  • 「翻訳された英語サイト」に共通する18の確認項目のうち13は、日本語版と英語版を2タブで開けば30分で事実確認できる。残る5項目は設計判断として区別して示す
  • 英語サイトが答えるべきは、日本語サイトには不要な6領域——在留資格・費用・住居・奨学金・卒業後・英語開講の範囲。私立大学の留学生の月平均支出は18万8,000円、奨学金受給率34.4%、留学目的の50.2%が日本での就職(同調査)。数字を持つ学内部署がそれぞれ違うことが、最大の障壁
  • 予算は80万円(単一プログラムのLP)〜800万円+(3言語・運用込み)。80万→200万→300万は値引きの階段ではなく、稟議を分けて通す順序
  • 国立大学法人は予定価格1,000万円以上で一般競争入札が原則(京都大学の公表基準、法人ごとに異なる)、私立大学は学内規程で決まる。英語サイトの再設計は監査の後に仕様が決まる仕事——設置形態が発注の順序を決める
  • 英語サイトと日本人学生向けサイトは担う仕事が正反対。英語サイトは「確認と納得」、日本人受験生向けの学部特設サイト・オープンキャンパスLPは「発見と印象」。基盤は共有できるが、コンテンツと導線は分けて設計する(第8章)

1. 留学生40万8,069人、前年比21.2%増——政府目標を8年前倒しで超えた市場の構造

2025年の日本の留学生数は、JASSO在籍状況調査(5月1日時点、教育機関在籍者)で40万8,069人、出入国在留管理庁の在留資格「留学」(6月末時点)で43万5,203人です。同じ年の別の統計で、対象が異なります。この2つはしばしば混同されるため、学内資料では必ず出典と基準日を添えてください。

統計基準日対象人数前期比
JASSO 外国人留学生在籍状況調査2025年5月1日教育機関に在籍する留学生408,069人+71,361人(+21.2%)
出入国在留管理庁 在留外国人統計2025年6月末在留資格「留学」の在留者435,203人前年末比 +33,069人

政府が掲げていた「2033年までに留学生40万人」は、2023年の教育未来創造会議(J-MIRAI)第二次提言で示された目標です。これが2025年に達成されました。8年前倒しです。

ここから読み取るべきことは、「市場が縮んでいるから留学生を取りに行く」という話ではないということです。受け入れ側の数は増え続けており、志願者の総数も増えています。競争は、縮小する市場の奪い合いではなく、拡大する母集団のなかでどの学校が選ばれるかという競争に変わりました。

大学は留学生市場の一部でしかない

在籍機関別の内訳を見ると、想定しているであろう「留学生像」は市場全体の一部であることがわかります。

機関種別人数前年比
日本語教育機関140,174人+32,933人(+30.7%)
専修学校(専門課程)106,829人+30,427人(+39.8%)
大学(学部)92,442人+5,021人(+5.7%)
大学院60,013人+1,798人(+3.1%)
短期大学4,138人+873人(+26.7%)
準備教育課程3,946人+288人(+7.9%)
高等専門学校527人+21人(+4.2%)

大学・大学院・短期大学の合計は15万6,593人で、全体の38%です。日本語教育機関と専修学校の合計24万7,003人(60.5%)がそれを上回ります。この構造は第9章で扱う、日本語学校・専門学校が大学の進学元であるという話につながります。

なぜこの記事は私立大学に向けて書かれているか

令和7年度学校基本調査(確定値)によると、全国812大学のうち624校(76.8%)が私立大学です。そして私立大学と国立大学法人では、Webサイトの発注の進め方が制度的に異なります。国立大学法人は予定価格に応じて一般競争入札や政府調達の手続きに乗るため、仕様書を先に確定させる必要があります。私立大学は学校法人ごとの内部規程による決裁のため、設計を先に走らせる余地があります。この違いは第7章で詳しく扱います。

JASSO「2025(令和7)年度外国人留学生在籍状況調査結果」出入国在留管理庁「令和7年6月末現在における在留外国人数について」文部科学省「令和7年度学校基本統計(学校基本調査の結果)確定値」(PDF)


2. 留学生の情報源は体験談46.7%、学校HP検索14.2%(JASSO)——英語サイトの役割は集客ではなく「確認と納得」

この章が、この記事でいちばん重要な部分です。

JASSOの令和5年度私費外国人留学生生活実態調査(有効回答7,867人、回収率78.7%)は、留学生が留学情報をどこから得たかを聞いています。結果は、大学のWebサイトが「発見の入口」ではないことを示しています。

入手方法令和5年度令和3年度令和元年度
留学経験者の体験談などを聞いて46.7%
親戚や友人に相談35.2%42.0%42.0%
母国の学校や教員に相談31.5%35.7%32.0%
入学を希望する学校に直接問い合わせ26.7%27.7%29.7%
日本留学フェア・教育展等に参加21.1%27.4%25.3%
その他の民間団体に問い合わせ20.6%22.0%18.4%
インターネットを利用して学校やJASSOのHPを検索14.2%31.2%35.7%
母国の政府教育機関に問い合わせ10.1%13.9%12.6%

(JASSO 令和5年度私費外国人留学生生活実態調査 第2-5表。3つまでの複数回答)

数字の読み方に注意が必要です。「留学経験者の体験談などを聞いて」は令和5年度から追加された選択肢であり、3つまでの複数回答であるため、検索の比率低下にはこの選択肢追加の影響が含まれます。「検索が半減した」と断定はできません。それでも、上位に並ぶのが人づて——体験談、親戚友人、母国の教員、学校への直接問い合わせ——であるという構造は、令和元年度から一貫しています。

だから英語サイトの仕事は「確認と納得」である

志願者は、あなたの大学の名前をどこかで聞いてから英語サイトに来ます。先輩から、母国の教員から、エージェントから、留学フェアで。サイトに着いた時点で、その人はすでに関心を持っています。

そこで起きることは検索でも発見でもありません。確認です。学費は払えるのか。自分の学歴で出願資格があるのか。英語だけで卒業できるのか。卒業した後、日本で働けるのか。この4つに答えられないページは、温かい紹介を冷ますだけの場所になります。

この違いは、改修の目標設定に直接影響します。集客装置としてサイトを捉えると、改修は「もっと魅力的に見せる」方向に向かいます。写真を増やし、キャンパスの雰囲気を伝え、学長メッセージを載せる。しかし志願者はすでに関心を持って来ています。必要なのは追加の説得ではなく、判断材料です。

そして判断材料の欠落は、問い合わせという形では表面化しません。答えが見つからなかった志願者は、質問を送るのではなく、静かに候補から外します。英語サイトの問題が学内で認識されにくいのは、失われた志願者が痕跡を残さないからです。第3章の監査を自分の手で行う価値は、ここにあります。

同じ調査で「留学するまでに特に苦労したこと」を見ると、この構造が裏づけられます。

留学するまでに特に苦労したこと(複数回答)令和5年度令和3年度
日本語学習57.5%56.7%
情報の収集49.5%47.1%
留学資金準備36.7%41.5%
留学ビザ取得28.5%28.6%
入学試験28.2%32.4%
留学先学校との事前連絡19.1%18.8%

(同調査 第2-4表)

日本語学習は大学のWebサイトでは解決できません。しかし2番目に多い「情報の収集」49.5%は、そのほとんどが自校のサイトで解消できる種類の困難です。留学資金準備36.7%、留学ビザ取得28.5%、入学試験28.2%、事前連絡19.1%も同様に、サイトの記述次第で軽減できます。第4章で扱う6領域は、この5つに対応しています。

注目すべきは、この数字が令和3年度からほとんど改善していないことです。情報収集の困難は47.1%から49.5%へ、むしろ微増しています。留学生が増えても、情報が届く状態にはなっていないということです。

意思決定の5段階と、各段階でサイトが担う仕事

段階志願者の状態主な情報源サイトが担う仕事失敗すると何が起きるか
①認知日本留学という選択肢を知る先輩・家族・母国の教員・エージェントほぼ関与しない
②絞り込み候補校を数校に絞る同上+留学フェア学校名で検索されたときに存在すること候補に入らない
③検証費用・出願資格・卒業後を確かめる学校の英語サイト中核。ここで落ちると候補から外れる静かに候補から消える。問い合わせは来ない
④出願書類を集めて実際に出す学校の英語サイト+事務局手続きを完走させる出願の途中で止まる。事務局への英語問い合わせが増える
⑤来日準備在留資格・住居・渡日学校の英語サイト+事務局不安を減らし、辞退を防ぐ合格後の辞退。最も損失が大きい

①と②はサイトの外で起きています。③④⑤がサイトの仕事です。この切り分けができていないと、英語サイトの改修が「もっと魅力的に見せる」方向に流れ、実際に志願者が詰まっている場所は放置されます。

段階ごとに、学内で観測できる兆候が違うことにも注意してください。③の失敗は何の痕跡も残しません。④の失敗は、事務局への英語の問い合わせという形で表れます——「必要書類は何か」「締切はいつか」という質問が繰り返し届いているなら、それはサイトに書いていないという証拠です。⑤の失敗は合格後の辞退として数字に出ます。

つまり、事務局に届く英語の問い合わせ内容は、英語サイトの欠落を示す無料の診断データです。改修の前に、過去1年分の問い合わせを分類してみてください。同じ質問が繰り返されている項目が、最初に手を付けるべきページです。

留学の目的の第1位は「日本で働くこと」

もうひとつ、設計に直結する数字があります。

留学の目的(複数回答)割合
日本で働く、もしくは日本企業に就職する50.2%
学位を取得する45.6%
就職に必要な技能・知識を身につける35.1%
教養を身につける29.3%
国際的な人脈をつくる26.4%
日本語能力を高める25.3%

(同調査 第2-1表)

来日前の段階で、すでに半数が就職を目的にしています。それにもかかわらず、多くの大学の英語サイトには留学生の進路データがありません。この欠落は第4章で扱います。

なお、多言語サイト全般の情報設計・hreflang・運用体制といった汎用的な方法論は、外国人に選ばれるWebサイトの作り方にまとめています。本記事は、そこから大学と留学生に固有の部分だけを扱います。

JASSO「令和5年度私費外国人留学生生活実態調査」/本記事が引用している各表は調査概要(PDF)に収録されています


3. 日英2タブ・30分でできる自校英語サイトの監査——「翻訳されたサイト」に共通する18の確認項目

ここからは、自校のサイトで確認していただく章です。日本語版と英語版を別のタブで開き、上から順に確認してください。所要30分。「自校」欄に該当するものをチェックしてください。

各項目の冒頭には種別を付けています。[事実確認] はサイトを見れば白黒がつく項目、[設計判断] は私たちの設計上の見解です。18項目のうち13が事実確認です。

3-1. 構造——日本語サイトの縮小コピーになっていないか

症状確認方法なぜ志願者にとって問題か自校
[事実確認] 英語トップが日本語トップと同じモジュール順・同じグリッドで、項目数だけが少ない。2つのタブを並べて見比べる日本語サイトの情報の優先順位は日本の受験生向けに最適化されている。それを間引いても、留学生向けの優先順位にはならない
[事実確認] 英語ページから2〜3クリックで日本語ページに落ちる。英語トップから主要導線を3階層たどり、日本語に切り替わるまでのクリック数を数える読めないページに落ちた時点で、志願者は自力で戻れない
[事実確認] 言語切替が、対応する英語ページではなく英語トップに飛ぶ。または下層ページで切替そのものが消える。下層ページで言語切替を押す読んでいた内容を見失う。日本語ページを見ていた教職員が英語版を確認する動線も切れる
[事実確認] 英語版のお知らせ・入試情報の最終更新日が、日本語版より数ヶ月から数年古い。両方の最新の日付を比べる更新が止まっているサイトは、募集も止まっていると読まれる
[設計判断] グローバルナビが日本語カテゴリの直訳になっている(「受験生の方へ」→ For Prospective Students など)。英語圏の大学サイトのナビと項目を並べてみる志願者は「自分が誰か」で探す。日本の大学の組織区分に対応する自己認識を持っていない

3-2. 内容——日本の受験生を前提にした情報設計になっていないか

症状確認方法なぜ志願者にとって問題か自校
[設計判断] 入試情報が入試区分(総合型選抜・学校推薦型選抜・一般選抜・私費外国人留学生入試)で構造化されており、志願者の状況では引けない。「海外の高校を卒業した志願者」が自分の入口を何秒で見つけられるか試す入試区分は大学側の分類であり、志願者が自分を当てはめられる分類ではない
[事実確認] 出願要項が日本語PDFのみで、英語ページの導線がそのPDFで終わっている。英語の How to apply を最後までたどる手続きの核心部分が読めない。ここで多くの志願者が止まる
[事実確認] 学費が年額のみの表示で、入学金・施設費が別表にあり、1年目に実際に必要な総額が示されていない。学費ページに「1年目の総額」があるか探す送金元は多くの場合、母国の家族。総額が出せないと資金計画が立てられない
[事実確認] 生活費のページがない、または「人により異なります」で終わっている。英語サイト内を Living costs で検索する学費より生活費のほうが不確実性が大きい。第4章の数字を出すだけで解消できる
[事実確認] 在留資格の説明が出入国在留管理庁へのリンクのみで、「大学が何をするか」が書かれていない。英語の Visa ページを読む志願者が知りたいのは制度ではなく、在留資格認定証明書の代理申請を大学がやってくれるのか、いつやるのか
[事実確認] 学生寮のページに、留学生の入居可否・定員・費用・保証人の要否が書かれていない。寮のページを日英で比べる住居は来日前に最も不安な項目のひとつ。保証人の要否は日本固有の壁
[事実確認] 日本語サイトには就職実績(企業名)があるが、英語サイトに留学生の進路データも在留資格変更の説明もない。日英の就職・キャリアページを比べる志願者の50.2%が就職目的で来る。答えがないページは、答えのある他校に負ける
[事実確認] 「英語で開講される科目がある」とは書かれているが、「英語だけで学位が取れるか」「必要な日本語レベル」が特定できない。英語の Programs ページで学位完結の可否と日本語要件を探すこの一点で出願するかどうかが決まる志願者は多い
[事実確認] 締切が令和表記・年度前提で、日本時間かどうかの明示がない。英語の締切表を読む時差のある国から出す志願者は、締切日の解釈を誤る

3-3. 実装——英語ページに日本語の前提が残っていないか

症状確認方法なぜ志願者にとって問題か自校
[事実確認] 英語の問い合わせフォームが全角カナ・日本の郵便番号・日本の電話番号形式を要求する。またはエラーメッセージが日本語で出る。海外の住所と電話番号で実際に送信してみる問い合わせは26.7%が使う経路。ここで詰まると連絡そのものが来ない
[事実確認] 学費表・締切表・キャンパスマップなど、重要情報が画像内テキストで組まれている。画像の上のテキストを選択できるか試す翻訳ツールにも読み上げにも乗らない。英語以外の母語の志願者と家族が読めない
[設計判断] 英語ページが日本語用のフォントスタックと行送りを継承しており、英文の組版が崩れている。英語の本文を日本語ページと同じ設定で見比べる読みにくさは、そのまま「この学校は英語圏に向けて本気ではない」という印象になる
[事実確認] 学費表・締切表がスマートフォンで横スクロールになる、またははみ出す。実機のスマートフォンで学費ページを開く第5章で述べるとおり、閲覧の中心はスマートフォン

3-4. これは翻訳会社の問題ではなく、発注の単位の問題

18項目のうち多くに該当したとしても、それは翻訳の品質が低いという意味ではありません。翻訳は、渡された日本語の情報構造をそのまま英語に運びます。留学生が知りたい在留資格・生活費・住居・卒業後の進路は、日本語サイトにそもそも項目として存在しないため、翻訳しても新しいページは生まれません。

発注の単位が「翻訳」になっていると、こうした症状が同時に現れやすくなります。日本語サイトが本体で、英語版がその中の一項目として発注されている限り、英語版を読む人のための設計は誰の担当にもなりません。

この構造は、担当者の能力とは関係ありません。むしろ日本語サイトをよく知っている人ほど、英語版の欠落は見えにくくなります。学費のページを見て「1年目の総額が書いていない」と気づくには、日本の大学の学費構成を知らない状態で読む必要があるからです。知っている人には、書いていない情報が補完されて見えます。

18項目のうち、いくつが該当したでしょうか。内容の項目(3-2)に多く該当した場合、必要なのはサイトの作り直しではなく、学内から情報を集めることかもしれません。構造の項目(3-1)に多く該当した場合は、情報を足すだけでは解消しません。この切り分けが、第7章の予算判断に直結します。

汎用的な自己診断(6カテゴリ・30項目の0〜90点スコアリング)は海外展開デジタル成熟度チェックリストにあります。本章は、大学の英語サイトに限定した確認項目です。

私は日本の私立大学の国際部で、英語サイトの改修を検討しています。以下は、自校サイトを18項目で確認した結果です。

該当した項目: [チェックが付いた項目の番号と症状を貼り付け]

自校の状況:

  • 英語で学位が取れるプログラム:[あり/なし/一部]
  • 留学生向け寮:[あり/なし]
  • 現在の英語サイトのページ数:[概数]

この結果から、学内共有用の1枚メモを作成してください。含めるもの:

  1. 該当項目のうち、志願者の出願完了を直接妨げているもの(優先度順に3つ)
  2. それぞれが影響する志願者の段階(検証/出願/来日準備)
  3. 各項目を解消するために、学内のどの部署から何の情報を取得する必要があるか
  4. 情報取得だけで解消できるものと、サイトの作り直しが必要なものの切り分け

4. 日本語サイトには不要で、英語サイトには必須の6領域——在留資格・費用・住居・奨学金・卒業後・英語開講の範囲

前章の症状の多くは、ひとつの原因に行き着きます。日本語サイトには載せる必要がなかった情報が、英語サイトには必要だということです。

日本の受験生は、学費以外に何がいくらかかるか、住まいをどう探すか、卒業後どう就職活動をするかを、暗黙のうちに知っています。だから日本語サイトはそれを書かなくても成立します。留学生にはその前提がありません。以下の6領域は、日本語サイトの不備ではなく、英語サイトに固有の要件です。

4-1. 費用——学費ではなく「1年目の総額」と生活費

JASSOの調査による、留学生の1ヶ月あたりの平均支出です。この表は、そのまま英語サイトに載せられる形にして掲載する価値があります。

区分平均月額支出
全体平均170,000円
私立大学188,000円
国立大学151,000円
公立大学139,000円
専修学校(専門課程)163,000円
日本語教育機関169,000円

居住地域による差も大きく、関東地方が平均193,000円と全国で最も高くなっています。地方の大学にとっては、この差はそのまま訴求点です。

(JASSO 令和5年度私費外国人留学生生活実態調査 第7-2表・第7-3表)

英語サイトに置くべき形は、学費の年額表ではなく、「1年目に必要な総額」(入学金+授業料+施設費+保険等)と「毎月の生活費の目安」の2つです。この2つがあれば、母国の家族が資金計画を立てられます。

4-2. 住居——保証人という日本固有の壁

住居は、来日前の不安がいちばん大きく、かつ日本語サイトがいちばん語っていない領域です。

項目数値
民間アパート・マンション等に居住70.1%(5,512人)
住居費の全国平均月額41,000円
住居費(関東地方)51,000円
入居時に保証人を求められた48.7%(3,829人)
保証人の種類として「保証人制度を利用する」19.3%

(同調査 第10-4表・第10-6表・第10-8表)

大学の寮に入れるのは一部です。7割は民間の賃貸に住み、その約半数が入居時に保証人を求められています。保証人という制度は、日本以外の多くの国に存在しません。制度の名前を英訳しても、何を求められているかは伝わりません。

英語サイトで説明が必要なのは「保証人が必要です」ではなく、次の分岐です。大学が機関保証をするのか。保証会社を紹介するのか。それとも留学生本人が誰かを探さなければならないのか。この3つのどれなのかが書かれていれば、志願者は来日前に準備できます。書かれていなければ、入学手続きの直前に判明します。

寮がある場合は、留学生の入居可否、定員、費用、入居できる期間(1年目のみか、在学中ずっとか)を明記してください。「留学生優先」とだけ書かれていて定員が示されていないページは、実質的に情報がないのと同じです。

なお、収入面では65.2%が何らかのアルバイトに従事しています。資格外活動許可の範囲については制度そのものを解説するのではなく、大学が入学後に案内を行うかどうかを書くのが実務的です。

4-3. 在留資格——手続きの説明ではなく「大学が何をするか」

出入国在留管理庁へのリンクを貼ることは、答えではありません。志願者が知りたいのは次の3つです。

  • 在留資格認定証明書の交付申請を、大学が代理で行うのか、本人が行うのか
  • 行うとすれば、合格発表から何週間後か
  • 資格外活動許可(アルバイト)について、大学がどこまで案内するか

制度そのものの説明は出入国在留管理庁にリンクし、大学のページには大学の役割だけを書くのが、いちばん短く、いちばん役に立ちます。

4-4. 奨学金——応募可能性が判定できる形で

奨学金は一覧を並べるだけでは機能しません。志願者が知りたいのは「自分が応募できるか」です。国籍要件、成績要件、出願時期(入学前に応募できるのか、入学後なのか)、併給の可否——この4つが揃って初めて判定ができます。受給率34.4%という数字は、裏を返せば3人に2人は受けていないということでもあり、期待値の調整としても数字を出す意味があります。

4-5. 卒業後——就職実績と在留資格変更

志願者の50.2%が日本での就職を目的に来ることは前章で見たとおりです。在学中の調査ではその比率はさらに上がり、卒業後の進路希望として「日本において就職希望」を挙げた者は54.4%(4,278人)に達します。

そして、その4,278人が就職活動時に何を求めているかは、大学が何を書くべきかを直接示しています。

就職活動時の要望(複数回答)割合
在留資格の変更手続きの簡素化、手続き期間の短縮化57.2%
留学生を対象とした就職に関する情報の充実51.2%
在留資格の変更が弾力的に認められるよう規制緩和36.1%
企業においてもっと留学生を対象としたインターンシップの充実28.3%
学校における留学生を対象とした就職説明会の充実26.6%
学校の留学生に対する就職相談窓口の充実21.0%

(同調査 第12-12表。「日本において就職希望」と回答した4,278人が母数)

上位2つは、いずれも在留資格と情報です。制度そのものを大学が変えることはできませんが、2位の「留学生を対象とした就職に関する情報の充実」51.2%は、まさにWebサイトが担える部分です。

英語サイトに必要なのは、日本語サイトにある企業名リストの翻訳ではなく、留学生に固有のデータです。

  • 留学生の卒業後の進路内訳(日本国内就職/進学/帰国)を数字で
  • 在留資格「留学」から就労可能な在留資格への変更について、大学が何を支援するか。57.2%が最も気にしている手続きです
  • キャリアセンターが留学生向けに提供している支援の内容と、その提供言語
  • 留学生を採用した実績のある企業の分野(企業名を出せない場合でも、分野は出せます)

日本での就職を希望する層の就職希望分野は「研究・技術開発」が32.3%で最多です。理工系の学部を持つ大学にとっては、この一致自体が訴求材料になります。

なお、企業が外国人材の採用サイトで何を書くべきかという話は外国人採用サイトのデザインにあります。本章は、大学が在学中の進路情報として何を出すかに限定しています。

4-6. 英語開講の範囲——どこまで英語で完結するか

「英語で開講される授業があります」は、志願者にとって情報になりません。特定すべきは次の3点です。学位を英語だけで取得できるのか。できるとすればどの学部・研究科か。入学時に必要な日本語レベルと、卒業までに必要になる日本語レベルはいくつか。

6領域と、学内で数字を持っている部署

この章がプロジェクトとして最も時間を要するのは、制作ではなく学内調整だからです。着手前に、誰が何の数字を持っているかを確定させてください。

領域志願者の問い情報を保有する部署(一般的な例)
費用1年目に総額いくら必要か財務課・入試課
住居住むところは確保できるか、保証人は要るか学生課・寮務課
在留資格大学は何をしてくれるか国際部・入試課
奨学金自分は応募できるか学生課・国際部
卒業後日本で働けるかキャリアセンター
英語開講英語だけで卒業できるか教務課・各学部事務

5. ネパール+54.7%、ミャンマー+77.2%——出身国の変化と、本人以外が読む前提の設計

5-1. 想定している留学生像はもう古い

2025年の出身国・地域別の構成です。

国・地域人数前年比
中国131,097人+6.2%
ネパール100,239人+54.7%
ベトナム43,366人+7.5%
ミャンマー29,413人+77.2%
スリランカ17,626人+43.7%

伸びているのは南アジア・東南アジアです。この構成は、閲覧環境の想定を変えます。大学サイトのストックフォトに写っている欧米圏の大学院生ではなく、中位機種のAndroidで、安定しない回線を使って読む志願者が中心だと考えるほうが実態に近くなります。

ここで具体的な端末シェアや回線速度の数字を挙げることはしません。国別の信頼できる調査を確認できなかったためです。ただし出身国構成という事実だけでも、設計上の含意は十分に導けます。重い画像、大きなJavaScript、画像内テキストは、この層に対して最も高い代償を払わせます。海外からの表示速度とCDNの扱いについては外国人に選ばれるWebサイトの作り方にまとめています。

5-2. サイトは志願者本人以外にも読まれている

第2章の情報源データが示していたことをもう一度見てください。親戚や友人35.2%、母国の学校や教員31.5%、民間団体20.6%(エージェントを含むと考えられる)。

これは、あなたのページが本人以外に読まれることを意味します。学費を負担する家族。進学を勧める母国の教員。手続きを代行するエージェント。この人たちは、多くの場合ページ全体を読みません。スクリーンショットを撮ってメッセージアプリで転送します。

設計上の含意は具体的です。

前提よくある想定実態設計上の対応
読む人志願者本人家族・母国の教員・エージェントも読むどのページも単体で意味が通ること
読む端末PC中位機種のスマートフォン表は縦持ちで崩れないこと
読み方上から順に通読必要な箇所だけを見て転送見出しと数字だけで用が足りること
共有の仕方URLの共有スクリーンショットの転送1画面に必要な情報が収まること
言語英語英語を経由して母語に機械翻訳画像内テキストを使わないこと

具体的なルールに落とすと、次のようになります。学費・締切・出願資格は、1画面に収まる形で、前後の文脈がなくても意味が通る書き方にする。「上記のとおり」「前述の条件で」といった参照は、切り取られた瞬間に無意味になります。金額には必ず通貨と年度を添える。締切には必ず日本時間の表記を添える。

そして最も重要なのは、重要な数字を画像に埋め込まないことです。学費表をレイアウトの都合で画像にしているサイトは珍しくありません。その瞬間、英語を母語としない志願者の家族は、機械翻訳を通してその表を読むことができなくなります。第3章の実装項目に画像内テキストを入れているのは、この理由です。

5-3. 日本留学フェアの前後でサイトが担う役割

留学フェアへの参加は21.1%で、依然として実在する経路です。ただし令和3年度の27.4%、令和元年度の25.3%からは低下しています。

フェアでの接触は数分間で終わります。ブースで交わせる会話は限られ、その場で渡せるのはURLとパンフレットだけです。つまりサイトは、フェアが残した関心の受け皿として機能する必要があります。フェアの当日ではなく、その数日後から数ヶ月後にかけて、志願者が一人で読み直す場所です。

フェア用のページを別に作る必要はありません。第4章の6領域が英語サイトに揃っていれば、それがそのまま受け皿になります。逆に言えば、フェアに出展しながら英語サイトが整っていない状態は、集めた関心を受け止める先がないということです。出展費用に対する費用対効果を考えるなら、サイト側の整備を先に済ませるほうが合理的です。


6. 「入試区分」ではなく「自分の状況」で探せるか——日本語が読めない志願者のための情報設計と出願導線

6-1. 分岐の軸を、大学の分類から志願者の自己認識に置き換える

日本の大学サイトは、入試区分で情報を分岐させます。これは大学側の業務分類としては正しく、日本の受験生にも通じます。海外から出願する志願者には通じません。

日本語サイトの分岐志願者の自己認識英語サイトで置くべき分岐
総合型選抜/学校推薦型選抜/一般選抜/私費外国人留学生入試「自分は海外の高校を出て、海外から出願する」海外から出願する学部志願者
学部/大学院/研究生/科目等履修生「自分はもう日本にいて、日本語学校に通っている」日本国内から出願する志願者(在留資格「留学」を保持)
交換留学/協定校「自分は交換留学で1年だけ来る」交換・短期留学
「自分は日本語がほとんど話せない」英語で学位が取得できるプログラム

英語サイトのナビゲーションは、この右側の軸で組んでください。左側の分類は、右側の各ページの中で必要に応じて説明すれば足ります。

この置き換えが効くのは、志願者が自分をどう認識しているかに沿うからです。海外の高校を卒業してこれから来日する人は、自分を「私費外国人留学生入試の志願者」だとは思っていません。「日本の大学に、海外から出願しようとしている人間」だと思っています。入試区分は、出願書類を準備する段階になって初めて必要になる情報です。入口に置く情報ではありません。

もうひとつ、日本の大学サイトに固有の落とし穴があります。「受験生の方へ」「在学生の方へ」「卒業生の方へ」「企業の方へ」という属性別ナビゲーションです。この分類は日本語話者には機能しますが、英語に直訳すると、留学志望者はどこにも自分を見つけられません。For Prospective Students の下に日本の入試日程だけが並んでいるページは、実際によく見かけます。

6-2. 出願導線の摩擦点マップ

出願は1回のクリックではなく、数ヶ月にわたる手続きの連なりです。どこで止まるかを把握しておくと、改修の優先順位がつけられます。

ステップ志願者がつまずく点設計上の対応
出願資格の確認母国の学歴が日本の「12年課程」に相当するか判断できない国別・学歴別の該当可否を、例示で示す
必要書類の把握母国で取得に数週間かかる書類がある取得に時間がかかる書類を明示し、逆算の目安を示す
締切年度表記・令和表記・時差西暦・日本時間・24時間表記で統一
出願方法Web出願か郵送か、代理提出が可能か3つの経路の可否を最初に明示
検定料の支払い海外送金の可否、クレジットカードの可否、手数料負担支払い手段を具体的に列挙
合否確認いつ、どこで、どう通知されるか日付と手段を明記
在留資格認定証明書大学が代理申請するのか、所要期間はどれくらいか第4章3節のとおり
学費納入海外送金の期限と手数料期限を日本時間で、手数料の負担者を明記
渡日準備住居、空港からの移動、入寮日来日前チェックリストとして1ページにまとめる

この9ステップのうち、日本語サイトが答えているのは通常「出願方法」と「締切」だけです。残りの7つは、日本の受験生には説明不要だからです。

特に見落とされやすいのが、検定料の支払いです。日本の受験生はコンビニ決済や銀行振込を当然に使えますが、海外からの志願者にとって数千円の海外送金は手数料の面でも手続きの面でも不合理な負担になります。クレジットカード決済に対応しているかどうかを明記するだけで、この摩擦は解消します。対応していない場合も、明記されていれば志願者は事前に準備できます。書かれていないことが問題であって、対応していないこと自体が致命傷とは限りません。

必要書類も同様です。母国の高校の卒業証明書や成績証明書を英文で取得するのに数週間かかる国は珍しくありません。締切だけを示して必要書類の取得に要する期間に触れないページは、志願者に逆算をさせません。「この書類は母国での取得に時間がかかる場合があります。締切の2ヶ月前には着手してください」という一文があるかどうかで、出願完了率は変わります。

6-3. PDFで終わる導線を、ページで終わる導線に変える

多くの英語サイトで、How to apply の最後に日本語の出願要項PDFへのリンクがあります。ここが導線の終点になっている限り、その前のページをどれだけ整えても効果は限定的です。

現実的な解決は、PDFを英訳することではありません。出願要項は毎年改定され、法人としての正本である以上、英訳版を二重に維持すると、どちらが正しいかという問題が必ず起きます。

PDFは正本として残したうえで、最低限次の5点をHTMLのページとして持つことです。

項目ページに書くべきこと
出願資格母国の学歴が該当するかを、国別・学歴別の例示で判断できる形
必要書類一覧と、母国での取得に時間がかかるものの目印
締切西暦・日本時間・24時間表記。出願期間の開始日も
検定料の支払い方法海外送金の可否、クレジットカードの可否、手数料の負担者
提出方法Web出願/郵送/代理提出の可否

この5点があれば、志願者は自分が出願できるかどうかを判断でき、詳細をPDFで確認するという順序になります。逆に言えば、この5点をページで持たない限り、その前のページをどれだけ整えても、導線は日本語PDFで終わります。

改修の優先順位を1つだけ選ぶとしたら、ここです。第3章の18項目のうち、志願者の出願完了を直接妨げているのはこの項目だからです。

なお、多言語サイトの情報設計と技術要件の汎用的な方法論——hreflang、URL設計、多言語CMS、表示速度——は外国人に選ばれるWebサイトの作り方にまとめています。本章は出願導線に限定しました。


7. 予算帯別スコープ(80万〜800万円)と、私立・国立で変わる発注の進め方

7-1. 予算帯別に何ができるか

予算帯期間の目安この予算で作れるもの
80万円〜4〜6週単一プログラムまたは出願導線のランディングページ1本。既存サイトには手を入れない
200万円〜8〜12週募集・出願・費用・生活のコアページ群を、既存デザインを踏襲して作り直す
300万円〜2〜3ヶ月コアページ5〜10ページを、英語版として情報設計から作り直す
600万円〜4〜6ヶ月英語サイト全体(20〜50ページ)、言語別の情報設計、多言語CMS導入
800万円+6〜12ヶ月3言語以上、コンテンツ戦略と継続運用込み

80万円は「英語サイトの値段」ではありません。稟議を分けて通すための第1段階(単一プログラムのLP)です。この金額でサイト全体が作れるという意味ではないことを、学内で共有しておいてください。

どの予算帯を選ぶかは、第3章の監査結果から判断できます。

監査結果適した予算帯
内容の項目(3-2)に主に該当。構造は問題ない200万円〜。情報を足して既存の枠に載せる
構造の項目(3-1)に3つ以上該当300万円〜。情報設計から作り直す必要がある
そもそも英語で学位が取れるプログラムを1つ検証したい80万円〜。フェーズ1として単独で出す
全学的に英語サイトを持ち直す方針が決まっている600万円〜

多言語対応は1言語追加ごとに+30〜50%が目安です。公開後の保守・運用は制作費の15〜20%/年を見込んでください。月額での運用費の内訳(翻訳・ネイティブレビュー・SEO保守)は外国人に選ばれるWebサイトの作り方にあります。

7-2. 運用コストの正体は翻訳量ではなく年次更新

大学のWebサイトに固有の運用負荷は、翻訳の分量ではありません。年度で必ず動く情報の更新です。

時期更新対象情報の出所
学費改定、奨学金の募集要項財務課・学生課
初夏次年度の出願要項、締切入試課
夏〜秋留学フェア・オープンキャンパス情報国際部・広報課
就職実績、進路データキャリアセンター

日本語側の改定が英語側に自動で反映されない構造になっていると、2年で情報が食い違います。運用設計とは、この4つの更新に誰がいつ着手するかを決めることです。

7-3. 私立大学の発注——稟議を通すためのスコープの切り方

80万→200万→300万という並びは、値引きの階段ではありません。稟議を分けて通すための順序です。

フェーズ予算成果物次の稟議で示せる材料
180万円〜英語で学位が取れるプログラム1つのLP英語圏からの問い合わせ数、資料請求数
2200万〜300万円費用・出願・住居・卒業後のコアページ群出願完了率、問い合わせ内容の変化
3600万円〜英語サイト全体の再設計

フェーズ1を先に出す利点は、金額の小ささではなく、次の稟議に持っていく数字が手に入ることです。

英語サイトの改修は、学内で優先順位が上がりにくい種類の投資です。日本語サイトのように学内の全部署が関係するわけではなく、効果も志願者数という遅い指標にしか表れません。「留学生の募集に効きます」という説明だけで600万円の稟議を通すのは、多くの私立大学で現実的ではありません。

一方、フェーズ1の80万円は、多くの法人で理事会を経ずに執行できる規模です。そこで英語圏からの問い合わせ数という実測値を得てから、フェーズ2の稟議に臨む。この順序であれば、2回目の説明は予測ではなく実績になります。

もうひとつ、フェーズ1には設計上の利点があります。第4章の6領域について学内の各部署から情報を集める作業を、1プログラム分だけ先に経験できることです。財務課から1年目の総額を出してもらう、キャリアセンターから留学生の進路内訳を出してもらう——この調整にどれだけ時間がかかるかは、実際にやってみるまでわかりません。全学規模で始めて詰まるより、1プログラムで所要時間を測るほうが安全です。

7-4. 国立大学法人の入札——仕様が先か、設計が先か

国立大学法人では、予定価格に応じて調達手続きが決まります。京都大学が公表している基準を例に挙げます。

予定価格手続き
500万〜1,000万円公募型見積り合わせ
1,000万円以上(政府調達を除く)一般競争入札
2,000万円以上(令和8・9年度適用価格)政府調達

英語サイトの再構築は、多くの場合1,000万円前後の規模に達します。国立大学法人ではその時点で一般競争入札となり、公告の前に仕様書を確定させる必要が生じます。

これは制度の優劣の話ではありません。順序の話です。本記事が提案しているのは、第3章の監査で現状を把握し、第4章の6領域について学内の各部署から情報を集め、そのうえで何を作るかを決めるという進め方です。この進め方では、仕様は監査と設計の後に確定します。仕様書を先に固定する手続きとは順序が逆になります。

私立大学は学校法人ごとの内部規程による決裁のため、この順序を取る余地があります。本記事が私立大学に向けて書かれているのはこのためです。

なお、調達の基準額は法人ごとに定められています。上の表は公表されている一例であり、自校の規程を必ずご確認ください。

発注そのものの実務——RFPの書き方、相見積もりの比較、契約・知的財産・支払条件、制作会社の見極め——は海外向けサイト制作の完全ガイドにまとめています。本章はスコープと発注の順序に限定しました。

私たちの体制と対応範囲は海外向けWebサイト制作にあります。制作はノーコードツールではなくカスタム実装で行っています。多言語での表現と、スマートフォンでの表示速度・動きの滑らかさを両立させるためです(8-4節)。出願導線に必要な検定料のオンライン決済にも対応します。

京都大学「入札情報(物品・役務等)」


8. 日本人学生向けの学部特設サイト・オープンキャンパスLP——同じ改修で「新しい世代に届く」側も設計する

ここまでは留学生と英語サイトの話でした。しかし大学のWeb改修を実際に企画すると、多くの場合もうひとつの課題が並走します。日本人の受験生、とくに新しい世代にどう届くか、です。

この2つは別の予算・別の担当部署で進むことが多いのですが、設計の観点では地続きです。そして担う仕事は正反対です。

8-1. 英語サイトと日本人学生向けサイトは、担う仕事が違う

英語サイト(留学生)日本人学生向けサイト・LP
訪問時の状態すでに名前を知り、関心がある候補として知ってはいるが、まだ心は決まっていない
サイトの仕事確認と納得発見と印象、そして記憶に残ること
欠けると起きること出願手続きが完走できない候補のなかで差がつかない
効くもの情報の網羅と正確さ体験の質、学部の世界観、動きと手ざわり
主な指標出願完了率、問い合わせ内容滞在時間、回遊、オープンキャンパス申込

第2章で「サイトの役割は集客ではなく確認だ」と書いたのは、留学生についての話です。日本人の受験生にはこれが当てはまりません。彼らは偏差値・立地・学部で候補を絞ったあと、最後は「ここに4年間通いたいか」で決めます。その判断に効くのは情報量ではなく、学部の世界観が伝わるかどうかです。

つまり同じ大学のWebでも、英語サイトには「抜けを埋める」設計が要り、日本人学生向けには「印象を作る」設計が要ります。片方の考え方をもう片方に適用すると、どちらも中途半端になります。

8-2. 作る単位は、サイト全体ではなく「1学部・1イベント」

日本人学生向けの施策は、大学サイト全体を作り替えなくても始められます。実際に効果が出やすいのは、独立した単位で作るものです。

単位目的中身
学部・学科の特設サイト学部の世界観と学びの中身を体感させるスクロールで展開する学びのストーリー、研究室・実習の映像、在学生の一日
オープンキャンパスLP来場前の期待形成と、来場後の記憶の定着当日の導線、体験できることの予告、来場後に見返せるアーカイブ
受験生応援・入試特設サイト出願期の一点集中日程・方式の整理、出願までの導線、リマインド
周年・新学部立ち上げサイト話題化とブランド更新ブランドの再提示、メディアが取り上げやすい素材

サイト全体の刷新は合意形成に時間がかかりますが、1学部・1イベントであれば、担当部署の裁量で進められる場合があります。第7章のフェーズ論と同じ考え方です。

8-3. 新しい世代の前提

作るときの前提を、いくつか明確にしておく価値があります。

  • 縦画面がデフォルト:受験生はほぼスマートフォンで見ます。PC前提でデザインしたものを縮めた画面ではなく、縦画面から設計する
  • 実機で滑らかに動くことが前提:凝った演出ほど、中位機種のスマートフォンで重くなります。動きがカクつくサイトは、動きのないサイトより印象を損ないます。表現の設計と同時に、描画負荷とアセット量の設計が必要です
  • 最初の数秒で決まる:長い学長挨拶や沿革は、この層には届きません。学びの中身が一目で伝わるかどうか
  • 共有されること前提:友人や保護者に見せる、SNSに貼る。第5章で留学生について書いたスクリーンショット耐性は、日本人受験生にも同じように必要です
  • 体験が記憶を作る:静止画とテキストだけのページは、閲覧の翌週には残りません。動き、インタラクション、音、3Dといった要素は、装飾ではなく記憶に残すための機能です

最後の点が、私たちがいちばん力を入れている領域です。スクロールに連動して展開する構成、WebGL・3Dによる表現、ブラウザで実際に触れる体験——こうしたクリエイティブなWeb制作は、Utsuboの中核の仕事です。大阪・関西万博2025での出展や、FWA・Awwwardsを受賞した制作は、いずれもこの領域のものです。

なお、企業の採用サイトにおける没入型の設計手法は没入型採用サイトの作り方に、キャンパス内に設置する物理的なインタラクティブ展示は大学・キャンパスのインタラクティブ・インスタレーション導入ガイドにまとめています。本章はWeb上の学生募集に限定しています。

8-4. 予算とスコープ

日本人学生向けの施策は単一言語のため、多言語の加算(1言語あたり+30〜50%)がかかりません。その分を表現と作り込みに配分できます。

予算帯期間の目安スコープ
120万円〜4〜6週オープンキャンパスLP・入試特設ページ1本。プレミアムなデザインと、スマートフォンで滑らかに動く実装
200万円〜8〜12週学部特設サイト。スクロールに連動した構成とモーション
400万円〜2〜3ヶ月本格的なスクロールストーリーテリング。3D・WebGLによる表現を含む
600万円〜4〜6ヶ月複数学部、または周年・新学部の本格的な特設サイト

なぜ日本人学生向けLPの下限が、英語サイトのLP(80万円〜)より高いのか

同じ「LP1本」でも、担う仕事が違うためです(8-1の表)。英語サイトのLPは、必要な情報を正しい構造で置くことが仕事です。日本人受験生向けのLPは、印象と記憶を作ることが仕事で、それはデザインと動きの質そのものが成果物になるということを意味します。

そしてこの差の大部分は、実装の負荷として現れます。受験生はほぼスマートフォンで見ます。スクロールに連動する演出、動画、3D表現を載せたうえで、中位機種のスマートフォンで滑らかに動かすには、通常のページ制作とは別の作業が要ります。アセットの軽量化、描画負荷の設計、読み込みの段階化、実機での検証——PCのブラウザで見栄えのするものを作ることと、それが受験生の手元の端末で滑らかに動くことは、別の仕事です。

見栄えだけを追って実機で重いサイトは、印象を作るどころか逆効果になります。120万円という下限は、この「スマートフォンで滑らかに動く」ところまでを含めた金額です。

英語サイトと日本人学生向けを同時に企画する場合、情報設計とデザインの基盤を共有できるため、別々に発注するより効率的です。ただし前述のとおり、担う仕事が違うため、コンテンツと導線は分けて設計する必要があります。


9. 日本語学校・専門学校の場合——留学生の6割を受け入れる進学元に、大学の設計はそのまま使えない

第1章で見たとおり、日本語教育機関と専修学校(専門課程)の在籍者は合計24万7,003人、全体の60.5%です。大学の国際部にとって、この2つは競合ではなく進学元です。日本語学校から大学へ進む経路は、留学生の主要な進学ルートのひとつです。

そのうえで、この2つの機関に大学の設計をそのまま適用することはできません。集めている志願者が違うからです。

項目私立大学日本語学校・専門学校
志願者の目的学位取得、その先の日本での就職日本語の習得そのもの、または職業技能
在籍期間4年(大学院2年)1〜2年
主な発見経路体験談・母国の教員・フェアエージェント経由の比重が大きい
意思決定の速さ出願期に合わせて数ヶ月より短い
サイトの主用途志願者本人と家族による検証エージェントが提示する資料としての側面
固有の信頼シグナル大学の知名度・実績認定日本語教育機関であること/職業実践専門課程
予算・期間200万円〜、8〜12週より小規模・短期
決裁理事会・稟議より速い

認定日本語教育機関という、期限のある信頼シグナル

日本語学校のWebサイトには、大学にはない固有の要素があります。2024年4月1日に日本語教育機関認定法が施行され、文部科学大臣による認定制度が始まりました。現行の法務省告示機関は、2029年3月31日までに認定を受ける必要があります。

認定は簡単ではありません。文部科学省が2026年4月30日に公表した令和6年度第2回の認定結果では、認定されたのは32機関でした。申請した100機関のうち、2機関が不認定、13機関が継続審査、53機関が審査の途中で申請を取り下げています。

つまり2029年3月に向けて、認定を受けているかどうかが、志願者とエージェントにとっての選別基準になっていきます。認定を取得した機関にとって、それをサイト上でどう示すかは、単なるお知らせではなく募集上の資産です。

エージェントが介在する前提の設計

大学のサイトが志願者本人と家族に読まれるのに対し、日本語学校のサイトはエージェントが志願者に提示する資料としても使われます。これは設計要件を変えます。コース内容・費用・入学時期・進学実績を、抜き出して見せられる単位で作ること。第5章で述べたスクリーンショット耐性が、より強く求められます。

進学実績の見せ方も、大学とは異なります。日本語学校を選ぶ志願者の多くは、その先の進学を前提にしています。したがって「どの大学・専門学校に何人進学したか」は、大学における就職実績に相当する中核情報です。ここが薄いサイトは、エージェントが提示する候補から外れます。

支出面では、専修学校(専門課程)の留学生の平均月額支出は163,000円、日本語教育機関は169,000円で、私立大学の188,000円より低くなっています(同調査 第7-1表)。学費が安いだけでなく、居住地域の分布も影響していると考えられます。この差自体が募集上の材料になります。

大学の国際部にとっての意味

日本語学校の状況を把握しておくことには、大学側にも実務上の意味があります。第6章で扱った「日本国内から出願する志願者(在留資格「留学」を保持)」という分岐は、多くの場合この層です。すでに日本にいて、日本語学校に通いながら大学を探している志願者は、海外から出願する層とは必要な情報が違います。在留資格は変更であって新規取得ではなく、住居はすでにあり、来日準備の情報は不要です。

英語サイトでこの2つを同じ導線に混ぜていると、どちらの層にも余計な情報を読ませることになります。第6章の分岐を推奨しているのは、この理由でもあります。

日本語学校・専門学校のサイト設計そのものは、それ自体で1本の記事になる主題です。本記事では、大学の国際部が進学元の状況を把握するための概観にとどめます。

文部科学省「認定日本語教育機関の認定結果」出入国在留管理庁「日本語教育機関の告示基準に基づく各種報告について」


10. Utsuboについて

Utsuboは大阪を拠点とするクリエイティブスタジオです。大阪・関西万博2025への出展、JR西日本、中小機構などの案件を手がけ、自社サイトを日本語・英語・フランス語の3言語で運営しています。FWA、Awwwardsでの受賞歴があり、海外ブランドとの直接取引の経験もあります。

私たちの中核は、スクロールで展開する構成、WebGL・3Dによる表現、ブラウザで触れる体験といった、クリエイティブなWeb制作です。第8章で扱った学部特設サイトやオープンキャンパスLPは、まさにこの領域の仕事にあたります。

もうひとつの軸が、海外向け・多言語サイトの設計です。英語サイトの評価には、次の方法を使っています。

学内の担当者が日本語版を熟知しているほど、英語版の欠落は見えにくくなります。これは能力ではなく構造の問題です。私たちの評価は、日本語を読めないメンバーが英語版だけを使って出願手順を最後まで進める「通し試験」を起点にします——翻訳の品質ではなく、手続きがどこで止まるかを確かめる方法です。第3章の18項目は、この考え方を自校で実施できる形にしたものです。

この方法の利点は、結果が意見ではなく事実として出ることです。「わかりにくい」ではなく「4番目のステップで止まった、理由は必要書類のページが日本語だったから」という形になります。学内で共有するときも、デザインの好みの議論になりません。

自社サイトを日本語・英語・フランス語で運用しているため、多言語サイトで実際に発生する運用上の問題——どの言語の更新が遅れるか、どこで情報が食い違うか——は、私たち自身が日常的に経験しています。第7章2節で年次更新を強調しているのは、そのためです。


11. ご相談ください

留学生募集のための英語サイトの再設計をご検討ですか?

まずは第3章の監査を自校で実施していただき、その結果をお送りいただくのが、いちばん話が早い進め方です。該当項目を拝見すれば、情報を集めるだけで解消できる部分と、作り直しが必要な部分の切り分けをお返しできます。

お問い合わせは、このページ下部のフォーム、または海外向けWebサイト制作のページのフォームからお願いします。送信後、1〜2営業日以内にご返信します。

30分のオンライン相談をご希望の場合は、こちらから日程をお選びいただけます(※予約画面は英語表記です)。

プロジェクトについて相談する


大学英語サイト再設計チェックリスト(学内調整用)

現状監査(今日、費用をかけずにできる)

  • 日本語版と英語版を2タブで開き、第3章の18項目を確認した
  • 英語トップから3階層たどり、日本語ページに落ちるまでのクリック数を数えた
  • 下層ページで言語切替を押し、対応する英語ページに飛ぶか確認した
  • 英語の How to apply を最後までたどり、終点が日本語PDFかどうか確認した
  • 海外の住所・電話番号で問い合わせフォームの送信を試した
  • 実機のスマートフォンで学費ページを開き、表がはみ出さないか確認した
  • 英語版と日本語版の最終更新日を比較した

学内調整(着手前に終わらせる)

  • 財務課から「1年目に必要な総額」の内訳を取得した
  • 学生課・寮務課から留学生の入居可否・費用・保証人の要否を確認した
  • キャリアセンターから留学生の進路内訳データを取得した
  • 教務課から英語で学位取得が可能なプログラムと日本語要件を確定させた
  • 入試課と、出願要項の英語ページ化の範囲を合意した
  • 年次更新(学費・締切・進路データ)の担当部署と時期を決めた

情報設計

  • ナビゲーションを入試区分ではなく志願者の状況で組み直した
  • 出願導線の摩擦点を9ステップで洗い出した
  • 出願資格・必要書類・締切・検定料・提出方法をHTMLページとして持たせた
  • 締切を西暦・日本時間・24時間表記で統一した
  • 学費・締切・出願資格を、切り取られても意味が通る書き方にした

実装・運用

  • 重要情報を画像内テキストから通常のテキストに移した
  • 英語ページのフォントと行送りを英文用に設定した
  • 問い合わせフォームを海外の住所・電話番号に対応させた
  • 保守・運用予算(制作費の15〜20%/年)を確保した

発注

  • 自校の決裁規程(私立)または調達基準額(国立)を確認した
  • フェーズ1で何の数字を取るかを決めた
  • 多言語対応(1言語あたり+30〜50%)の要否を判断した

FAQ

日本語サイトの英語版を翻訳会社に出すのと、英語サイトを別に設計するのとでは何が違いますか?

翻訳は日本語の情報構造をそのまま運びます。留学生が知りたい在留資格・生活費・住居・卒業後の進路は、日本語サイトにそもそも項目として存在しないため、翻訳してもページが生まれません。第4章の6領域は、日本語サイトの不備ではなく、英語サイトに固有の要件です。

判断の目安として、第3章の18項目のうち内容に関する9項目に多く該当する場合、翻訳を発注しても状況は変わりません。必要なのは学内から情報を集めて新しいページを作ることであり、これは翻訳会社の業務範囲外です。

英語サイトの制作費はどのくらいですか。既存の英語ページを直すのと作り直すのとで違いますか?

単一プログラムのランディングページで80万円〜、コアページ群で200万円〜、英語版として情報設計から作り直す場合は300万円〜、サイト全体では600万〜800万円+が目安です。既存ページの修正で足りるかどうかは、第3章の18項目のうち構造に関する5項目に該当するかで判断できます。構造の項目に多く該当する場合、個別ページの修正では解消しません。

私立大学と国立大学で、発注の進め方はどう変わりますか?

国立大学法人は予定価格1,000万円以上で一般競争入札、2,000万円以上で政府調達となり、公告の前に仕様書を確定させる必要があります(京都大学の公表基準。基準額は法人ごとに異なります)。私立大学は学校法人の内部規程による決裁のため、監査と設計を先に進めてから仕様を確定させる順序を取れます。

国際部だけで進められますか。学内のどこと調整が必要になりますか?

第4章の6領域は、それぞれ情報を持つ部署が異なります(財務課・学生課・寮務課・キャリアセンター・教務課・入試課)。制作そのものより、着手前に「誰が何の数字を持っているか」を確定させる工程が、実務上いちばん時間を使います。チェックリストの「学内調整」の項目を先に片付けてください。

特に、留学生に限定した進路データ(日本国内就職/進学/帰国の内訳)は、集計されていない大学が少なくありません。キャリアセンターが全体の就職率しか持っていない場合、まず集計の依頼から始める必要があります。この一点だけで数ヶ月かかることもあるため、最初に確認してください。

英語のコピーは誰が書くのですか。学内の英語ネイティブ教員に確認してもらえば十分ですか?

文法の確認と、志願者の立場で情報の過不足を判断することは別の作業です。前者は学内で足ります。後者には「日本の大学の前提を知らない読み手」の視点が必要で、これは英語力とは別の条件です。第3章の18項目のうち内容に関する9項目は、英語力があっても日本の大学の常識を共有していると見落とします。

出願要項が日本語PDFしかありません。英語サイトはどこまで作り込むべきですか?

最低限、出願資格・必要書類・締切(時差込み)・検定料の支払い方法・提出方法の5点をHTMLのページとして持ってください。PDFは正本として残し、導線の終点にしないことが要点です。この5点があれば、志願者は出願できるかどうかを自分で判断できます。

中国語・ベトナム語・ネパール語も必要ですか。英語だけで足りますか?

出身国は中国32.1%、ネパール24.6%、ベトナム10.6%、ミャンマー7.2%、スリランカ4.3%(JASSO 2025)で、単独で過半を占める非英語圏はありません。まず英語を共通層として完成させ、募集地域が定まってから言語を足すのが現実的です。1言語追加ごとに+30〜50%の費用がかかるため、先に英語版の完成度を上げるほうが投資効率は高くなります。

公開後の運用は誰が担当しますか。学費や締切の年次更新はどうなりますか?

運用コストの実体は翻訳量ではなく年次更新です。目安は制作費の15〜20%/年。学費改定(春)、出願要項と締切(初夏)、フェア情報(夏〜秋)、進路データ(冬)の4つが必ず動きます。日本語側の改定が英語側に自動で反映されない構造だと、2年で情報が食い違います。第7章2節の年次更新表をもとに、担当部署と時期を先に決めてください。

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